« UFC 145 を見て | トップページ | 太平洋に「東海」と併記せよ »

2012年4月24日

英語はほとんどファンタジー

このほど JR 常磐線取手駅の駅ビル(ボックスヒル)のマイナーチェンジ的な改装ができあがったようで、本屋に寄ってみたら、今までの裏寂しいイメージと比べればずっと小洒落た感じになっていた。

ところが本屋で本を買ったついでに、トイレに寄って驚いた。改装なったトイレの入り口の真新しいプレートには、男性と思われるアイコンと一緒に 「男子トイレ Men Toilet」 と表示してあるのである。

Img_5100

あまり驚いたので、iPhone で証拠写真を撮っておいた。それが上の写真である。Men Toilet なんてとんでもないことを言ってしまっては、複数と単数が混じっちゃってるが、日本語に戻したら 「人間便器」 になってしまうではないか。イメージするだに恐ろしい。

「いやいや……」と私は気を取り直した。これは「男子 - Men」「トイレ - Toilet」 を単純に並べるという、まるで小学生みたいな翻訳をしてしまったから、こんなことになったのだ。うん、そうだ。いくらなんでもそうとしか考えられない。きっと、"Men's Room" というフツーの言い方を知らなかっただけなんだ。うん。

とまあ、こんな表示を見るにつけ、フツーの日本人にとっての英語というのは、ほとんど実体のない「ファンタジー」に近いものと思うほかないのである。先月 14日の "「聞き流すだけ」 という英会話教材を巡る冒険" で、「具体的に英語でどうしたい、こうしたいというようなことじゃないみたいなのだ」と書いた通りである。

さすがに近頃では、「納豆ダイエット」 とか 「トマトで痩せられる」 とかいうのをそのまま鵜呑みにする人は少なくなったが、テレビやラジオの CM の 「聞き流すだけで 2ヶ月経ったら、目の前の外国人の会話がほとんど理解できた」なんていうファンタジーに関しては、そのまま素朴に信じちゃう人がまだまだいるようなのである。

日本人にとっての英語は、納豆やトマトほど身近な現実感がないから、濃いめのファンタジー要素をいつまでもいつまでも保持し続けられるのだね。ファンタジーの濃さに関しては米国人にとっての日本語(漢字)も負けていないのだろうが、ファンタジー英語とファンタジー日本語では、今のところ影響力が段違いだ。

ついでに思い出したが、一昨日のラジオの聴取者参加番組で、電話をかけてきた人の上司が、米国だかどこだかのホテルのフロントで、「タクシーを呼んでくれ」のつもりで "Call me taxi." を連発したと言っていた。

番組のパーソナリティは、初めは何がおかしいのかさっぱりわからない様子だった。うぅん、「俺をタクシーと呼んでくれ」と言われたフロントはきっと、一瞬は頭がおかしい人が現れたと思っただろうけど。

 

|

« UFC 145 を見て | トップページ | 太平洋に「東海」と併記せよ »

言葉」カテゴリの記事

コメント

明らかに外国から来たと見えるお客が、ホテルのフロントという場所で"Call me taxi"と連発しているにも関わらず、「タクシーを手配してほしいのかな」程度の勘が働かないなんて、プロのホテルマンとしてどうだろう?…と、私は割と思うタイプです。

投稿: emi | 2012年4月25日 12:26

スーパーに親子で買い物に来ていた25歳くらいの娘さん。
ジーパンをはいていましたが、股間の右横になにやら刺繍がしてある。チラッとみると、“juicy” とあった、確かに。

一瞬、思考停止しました。
あれは、自分で刺繍したのか、買ったものなのか、当然謎ですが、本人は、母親は、家族はどう思ってるんだろうと不思議でなりません。
なんか英語で書いてありゃいいのかも知れませんね。

投稿: ハマッコー | 2012年4月25日 16:10

納豆やトマトで痩せるということが、間違いであると証明する人がいたら近いのでわかりやすのかもしれませんが、否定する人がいないと、それが間違っていたとしても近く過ぎて案外見えないこともあるかも?と思います。

楽して手に入るファンタジーは、英語をマスターした人なら、もう自分の中にあり実体があるでしょうから妥当性を判断できると思いますが、人間、楽したいものですから引っかかってしまうのも分かります。


私は英語に親しんでいますが、さっぱりです。ラジオの英会話でなんとかなるかなぁと、自分に添うようにマイペースに聞いています。

難しい日本語文(専門書)も執念で理解しようとしたらできましたから、英語も執念深く理解しようとしたら、意思疎通のツールですし何とかなると思うのですけどね。


また、ファンタジーに関しては、精霊が助けてくれるのっ(LOVE)と、現実を見ない人に対して『おぉい、現実を見よ!』と心の中で思っていますが、個人の自由ですからね。ある程度なら幸せのツールだ。

わたしも、2010.12.24の小さなおじさんの話は、ほぅっと幸せな気分になりましたし、他の人にも言いましたし、いたらいいなぁと思いましたよ。あとあとよく見たら、写りのトリックでしたけど、私、こういう話は好きです。

投稿: BEKAO | 2012年4月25日 18:05

emi さん:

>明らかに外国から来たと見えるお客が、ホテルのフロントという場所で"Call me taxi"と連発しているにも関わらず、「タクシーを手配してほしいのかな」程度の勘が働かないなんて、プロのホテルマンとしてどうだろう?…と、私は割と思うタイプです。

米国での経験則からいうと、そうした勘の働かないホテルマンがかなり多いです。

それで、すぐに私の部屋に電話がかかってきて、「お~い、通訳頼むよ~」 ってなことになるので、ものすごくうっとうしいです ^^;)

ほとんどの場合は、間違い英語 + ものすごいカタカナ発音 + ホテルマンの勘の悪さ (質の悪さ) + 東洋人を見下した意地悪さ の合わせ技だと思っています。

投稿: tak | 2012年4月25日 21:40

ハマッコー さん:

ある程度の年になったら、"Dried Up" と刺繍するんでしょう (^o^)

投稿: tak | 2012年4月25日 22:03

BEKAO さん:

>納豆やトマトで痩せるということが、間違いであると証明する人がいたら近いのでわかりやすのかもしれませんが、否定する人がいないと、それが間違っていたとしても近く過ぎて案外見えないこともあるかも?と思います。

本当に痩せるという証明や、それが間違いであるという証明があったとしても、それもまたファンタジーに違いありません。

>また、ファンタジーに関しては、精霊が助けてくれるのっ(LOVE)と、現実を見ない人に対して『おぉい、現実を見よ!』と心の中で思っていますが、個人の自由ですからね。ある程度なら幸せのツールだ。

実際に、精霊に助けられているからファンタジーなのです。確実に。

>わたしも、2010.12.24の小さなおじさんの話は、ほぅっと幸せな気分になりましたし、他の人にも言いましたし、いたらいいなぁと思いましたよ。あとあとよく見たら、写りのトリックでしたけど、私、こういう話は好きです。

我が家でも、何か小さなものを紛失したら、「借り暮らしの小人が借りてったのね」 ということになっています (^o^)

投稿: tak | 2012年4月25日 22:10

ハマッコーさん:

Juicy Coutureというアメリカの若い女の子にとても人気のあるブランドがありまして、胸とかおしりとかに大きく"JUICY"とプリントしてあったりします。

それでないとしても、Juicyと服にあるのはかなり前からちらほら見かけておりまして(米国在住25年です)、何年か前にスポーツクラブで前でエクササイズしていた女性のおしりにばーんとJUICYとあって、女性である私も目のやりどころに困った経験もあります。あと、高校のクラブ活動のユニフォームの短パンのおしりにチームの名前がプリントしてあったりして、「私のおしりを見て見て」って言っているようなものですよねー。

品があるとは言えないかと。あれ、英語の話からそれてしまいすみません。

投稿: めぐみ | 2012年4月26日 08:49

めぐみ さん:

その昔、Juicy Lucy (お汁たっぷりのルーシー)という名前のバンドがありまして、と書き始めて、試しにググってみたら、何と再結成されて、今でもやってるんですね。メンバーはだいぶ変わってるようですが。

私は 1975年頃によく聞いてました。今でも LP がありますが、プレーヤーがありません (T_T)

http://www.youtube.com/watch?v=QXkmuUoUyT0

これなんか、バンド名の魅力で、メンバーは代替わりしつつも、延々と続きそうな気がしてきました。

話があさっての方に行ってしまって、すみません ^^;)

投稿: tak | 2012年4月26日 14:18

めぐみ さん

なあるほど、そういうことだったんですか。
貴重な情報ありがとうございます。
それにしても、股間の真横に“Juicy” はないですよね。

投稿: ハマッコー | 2012年4月26日 19:43

Men Toilet なんてかわいいものです。最近よく話題になっていますが、欧米の漢字タトゥー・漢字ブランド名などのほうが数倍変だと思いますよ。

Tシャツのど真ん中にでっかく「痔」とか。タトゥーで「童貞」とか。音楽でも民族音楽をサンプリングして利用したものなどがありますが、恋愛の曲にお祈りのコーラスが入っているとか(両方の言語がわかると不謹慎)。

要するに、人類共通の問題であって、日本人を嘆くような話ではないと思います。

投稿: 123 | 2012年5月11日 14:54

123 さん:

>欧米の漢字タトゥー・漢字ブランド名などのほうが数倍変だと思いますよ。

それについては、本文に

ファンタジーの濃さに関しては米国人にとっての日本語 (漢字) も負けていないのだろうが、ファンタジー英語とファンタジー日本語では、今のところ影響力が段違いだ

と書いていますので、わざわざご指摘されなくても OK だと任じています。

また、Tシャツの 「痔」 は、意味を知らずにやっているんでしょうが (もし意味を知って、ジョークとしてやっているのなら、それはそれで OK)、"Men toilet" は、中途半端に知ってすべっちゃってるだけ痛いという違いがありますね。

ものすごく 「変」 なだけなら愛嬌にもなりますが、中途半端が一番お恥ずかしいということで。

投稿: tak | 2012年5月11日 15:37

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 英語はほとんどファンタジー:

« UFC 145 を見て | トップページ | 太平洋に「東海」と併記せよ »