国の施策なんて、大抵「秘密会議」で決まる
内閣府原子力委員会の使用済み核燃料の再処理政策を論議してきた小委員会が、経産省・資源エネルギー庁、電気事業者らの原発推進側だけを集めて、「勉強会」と称する秘密会議を開いていたと、毎日新聞がスクープした (参照)。
4月 24日に開催された「秘密会議」では、表紙に「取扱注意」と記載された報告原案が配布され、この原案の結論部分にあたる「総合評価」は、再処理に有利になるよう求める事業者側の意向でかなり書き換えられたらしい。そしてその書き換えられたものが、後日の小委員会に提出された。つまり、原発推進側に事前に「お伺い」を立てたわけだ。
というわけで、これはけしからんと問題になっているわけだが、こうした検討委員会とか諮問委員会とかでは、似たような「秘密会議」がもたれることなんて、そんなに珍しいことではないと思う。政府が主催するこうした委員会の報告書なんて大抵そんな感じで、裏側で進行した「話し合い」の内容が強く反映されたものになる。
私も以前は業界団体のはしくれに在籍していたので、経産省(その前は通産省)が主催する(あるいは、業界団体に委託した形で進められる)様々な検討委員会の委員として、結構いろいろな会議に出席していたから、その辺のことは実感している。
委員として参加していても、それほど重要メンバーというわけじゃなく、いわば「並び大名」みたいにメンツ合わせ的なポジションで参加している場合は、月に 1度とかの頻度で開催される検討委員会に出席すると、「ありゃりゃ、いつの間にこんなに話が進んでたの?」と呆れてしまうほどに、できあがりすぎた筋書きの議案や資料が配付される。
それでちょっとした質疑応答があって、それで終わりだ。つまり公式会議は、裏側で決められた筋書きをシャンシャンシャンで承認するためのセレモニーに過ぎない。よっぽどひどいことでもない限り、その筋書きについてごねすぎると「空気を読めないヤツ」として白眼視される。
委員会の討議内容が、たまたま自分の所属組織の活動内容にかなり密接に関連しすぎていたりすると、私までその「秘密会議」に招集されることがある。主催者はごく当然のごとく「プレミーティング」とか「事前打ち合わせ」とか称して呼びつけるのだが、他のメンバーには知らせずに行われるのだから、「秘密会議」には違いない。
会議の会場は、参加する有力企業や団体の会議室とか、つまり「会場借用料」の発生しないところが使われる場合が多い。そりゃ、秘密会議で領収書をもらえないお話だから、当然だ。
ここで例えば、いつも決まってゴネる委員を煙に巻くための文言の検討とか、当たり障りのないところで散々しゃべらせてガス抜きするための、プログラムの検討なんかが行われたりする。
まあ、はっきり言って姑息な話ばかりになりがちで、当然ながら出席していてもあまりいい気持ちはしない。で、そうした「事前打ち合わせ」には、経産省の役人も出席してきちんと内容をウォッチしている。そんなのは当然のごとく行われている。
昔の料亭が、今はどこかの会議室に舞台を変えたと思えばいいのかもしれない。まあ、国の施策なんて大抵そんな風に動いているわけなので、反対派の意見なんて通らないことになっているわけなのである。
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