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2012年6月22日

CD が売れない理由

CD が売れないのだそうだ。マイナビニュースによると、2000年の CD 生産枚数は、シングルが約 1億 500万枚、アルバムが約 2億 7,600万枚だったが、10年後の 2010年にはそれぞれ約 5,100万枚、約 1億 5,600万枚と、ほとんど半減してしまったという。(参照

どうしてこんなに減ってしまったのか。iTunes などネットショップからの購入が増えたからとか、JASRAC なんかは違法ダウンロードのせいだなどと言っているようだが、それは表面的な考えというものだろう。

本当のところをいえば、消費者が CD を買いたいと思わなくなったことが根本的な問題のようなのだ。マイナビニュースの調査によると、CD の購入については次のような結果になっている。

調査期間:2012/2/29~2012/3/4
アンケート対象:マイナビニュース会員
Q.CDを購入しますか? 
はい 38.4% いいえ 61.6%

Q.なぜCDを購入しないか、その理由を教えてください。
インターネットショップ (itunesStore など) で購入するから 18.7%
レンタル店で借りるから 49.0%
音楽ソフトを購入しない 35.9%
そのほか 7.5%

サンプル数などの問題があるかもしれないが、CD を購入するという層は 4割弱しかいない。6割強は、CD を購入しないというのである。

CD を購入しない理由としては、インターネットショップからのダウンロード購入は 19%以下でしかなく、ほぼ半数はレンタル店から借りるからと答えている。そしてそもそも 「音楽ソフトを購入しない」 という回答が 3分の 1以上。「買わない理由なんていう以前に、買う理由がないのだ」ということだ。

「そのほか」という回答が 7.5%あるが、その内容としては「YouTube などの動画サイトで聞く」というのが一番多かったという。これは 「違法ダウンロードに近いかもしれないが、数字としては 7.5%の中の 17%にすぎない。

要するに CD が売れない理由としては、レンタル店で借りて済ませるからというのが一番大きいみたいなのである。数字だけをごく短絡的にみると、レンタル店で借りて済ませる分が、CD の生産減につながっている。「そもそも買わない」 というのがそれに次ぐが、それは昔から変わらないだろう。

自分のケースについていうと、そもそも最近はほとんど CD を買っていない。大抵は iTunes で買っているし、それも最近のものよりも、元々 LP で持っていたものを買い直すということが多い。

そもそも、最近の曲はほとんど聞かないのである。昔に馴染んだ曲の方がずっといいと思っているから、最近の曲なんて仕入れる必要をあまり感じないのだ。

私のような音楽好きが、最近の曲にほとんど魅力を感じないというのは、引き出しの中には既に名曲がどっさりで、お腹一杯になってしまっているということがあるかもしれない。

それからもう一ついうと、最近の曲は音楽だけで自立していないからということを挙げたいと思う。多くはダンスとセットで売られているのだ。だったら、セットの中身として重要な部分を占めるダンスが見られない CD なんて、誰が買うというのだ。

まさに、YouTube の動画を見る方がいいということになるだろう。そして私のようなおっさんは、ダンスを抜いて残りカスだけになってしまった音楽なんて、ほとんど魅力を感じないのである。

 

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音楽」カテゴリの記事

コメント

> 最近の曲は音楽だけで自立していないからということを挙げたいと思う。多くはダンスとセットで売られているのだ。だったら、セットの中身として重要な部分を占めるダンスが見られない CD なんて、誰が買うというのだ。

全くもって同感です。
つい先ほども、晩飯をつつきながらタモリ司会の某音楽番組を見ていたんですが、ながら見(ながら聞きかな?)だとちっとも面白くない、むしろ全然雑音にしか感じない。そんな音楽を買う気にはなりませんね。
まぁ、しっかり画面を見つめてダンスを鑑賞したとしても、やっぱり最近の曲は欲しくはなりませんが(笑)

投稿: もりけん | 2012年6月22日 22:53

もりけん さん:

私は前にも、「SMAP がハモらないのは」という記事で、「後ろでフラフラ踊ってる暇があったら、少しはハモれよ!」 と書いてますしね (^o^)

https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2011/01/smap-f08f.html

投稿: tak | 2012年6月23日 23:03

どもども、音楽ネタであらわれるまこりんです。
「CD不況」というのは、コレ、業界のおごりと勘違いだとわたしは思ってます。
以下リンク先、日本レコード協会の資料「年度別音楽ソフト生産実績推移 1953~2011」ですが……。

【金額別】http://www.riaj.or.jp/data/money/index.html
【枚数別】http://www.riaj.or.jp/data/quantity/index.html

基本、音楽ソフトの生産実績は、統計を開始して1999年までは常に右肩上がり(CD転換期の80年代に軽く停滞と微減しましたが)で、そこを頂点にがっつりマイナス転換して、現在なのですが、
では不況と言われている現在音楽ソフトの生産実績は、というと、金額・枚数ともに、ちょうど80年代の実績と同レベルなんですよね。
コレを不況というのか? むしろ90年代がバブルだっただけで、今は「買って聞く人が買う」というまともな数値に落ち着いただけなんじゃないか?と。
で、業界はあの時代がバブルだったことを受け止められないから不況といっているだけでは?と。私はそんな風に思ってます。
ネットの動画に関しても、昔でも、テレビやラジオで流れまくってて覚えたけどレコード持ってない曲なんてのがそれぞれあったのが、今はyoutubeとかニコニコ動画に変わったという、その程度の変化なんじゃないかなー、と。
私個人振り返ると、いわゆるメディアがプッシュする流行りものの音楽ソフトを買う機会は減りましたけど、マイナーなアイテム、旬ではないアイテムを買う機会はネットによってとても増えた気がします。
過去作品のリイシューもこまめになった気がしますし、選択肢が広がり裾野が広がった、ということで、私は現状も悪くないかな?と思ってます。
無論、最近メディアの押す音楽はほんっっとどっしょーもないってのは同意見ですが。

投稿: まこりん | 2012年6月24日 00:53

まこりん さん:

ほんとだ。80年代と同じですね。
バブルが弾けただけだ。

>マイナーなアイテム、旬ではないアイテムを買う機会はネットによってとても増えた気がします。

書籍購入と似た傾向ですね。
街の漫画と雑誌とベストセラーしか置いてない書店と、駅ビルの新星堂みたいな、流行りモノと演歌しかおいてない CD 屋は、利益が取れないのも道理です。

投稿: tak | 2012年6月24日 15:46

1998年ごろのケニー・Gのソプラノサックスの演奏は
彼のかっこよすぎるスタイルにしびれまくりでした。
DVDのような物があったらいいなと熱望したが、そんな物はまだなかったし、
1999年ごろのヴァネッサ・メイのクラシックのバイオリン演奏がしびれるくらいの官能的なかっこよさに女の私が度肝を抜かれてDVDのような物を探しまわったがもちろんなかった。
ですから、私のような年配者でも1998年にはCDなんか
いらなかった。
音楽が目から入る物になっちゃったんです。

投稿: tokiko | 2012年6月24日 17:16

tokiko さん:

>音楽が目から入る物になっちゃったんです。

うぅむ、確かに、音楽パフォーマンスから視覚的要素を奪ったら、かなりの損失なのかも。

ある意味、「レコード → CD」というメディアの流れは、音楽から視覚的要素を奪ったという罪があるかもしれませんね。

投稿: tak | 2012年6月24日 17:32

iTunes とか YouTube とかのインパクトは、そうした手段を通じて音楽やビデオを視聴するようになったからということよりも、それらによって「いつでも聴ける、観られる」という気持ちになることによって、物理的にCD等のモノを所有しておくインセンティブがなくなることだと思います。

私の場合、電子書籍の普及を待望する理由は、液晶画面で読みたいからではなく、あのかさばって重たい本というモノをこれ以上持てないからです。しかし、心のどこかでは、そういうものが普及すると、いつでも入手できると思って買わなくなるか、買っても「つんどく」になる可能性が高いような気がして、危惧しています。

投稿: きっしー | 2012年6月25日 17:51

きっしー さん:

いろいろなアンケートの結果で、「好きな曲はやはり CD でもちたい」という意識が強い」 という傾向があると指摘されていますが、それはせいぜい、数枚から数十枚のレベルの人のお話なのではないかと、今気付きました。

紙の本でも、数十冊までなら小さな本棚一つで足りますから、苦になりません。

「いつでも読める、聞ける」 という状態になると、東京人が東京タワーに昇ったことがないみたいなもので、積ん読になりやすいかもしれませんね。

ただ、実際に 「読もう、聞こう」 と思い立った時に、すぐに読める、聞けるというのは、やはり強みには違いありませんが。

それから、青空文庫で読めるようなものを誰が買うのかと思っていましたが、ちょっと前の宮沢賢治のように、著作権が切れるととたんに全集発刊ラッシュになるということもあります。

どうしても 「モノの形」 で所有したいというのは、半分は骨董のコレクションみたいなところがあるのかもしれませんね。

となると、骨董にならないようなものまでモノの形でもつのは、確かに苦になりますね。

投稿: tak | 2012年6月27日 05:03

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