手書きとデジタル
「デジタルは NG!手帳がPC やスマホより優れている点 3つ」という記事を発見した。手帳が優れている 3つのポイントというのは、次のようなことだという。
- 命にかかわる情報は手帳で管理すべし!
- 夫婦円満にも手書きの交換日記が大活躍
- 手書きはタイピングよりも記憶に残りやすい
「命にかかわる情報」 というのは何かと思ったら、「おくすり手帳」 なんだそうだ。そういえば、私もかなり大昔、医者にかかって薬局で薬を処方してもらった時に、そんなようなものをもらった憶えがあるが、とっくになくしてしまった。どこか引き出しの奥を探せば出てくるかもしれないが、面倒で探す気になれない。
昨年の大震災の時、「おくすり手帳を持っていた患者さんは、別の診療所や避難所でいつも飲んでいた薬を正確に医師に伝えられ、スムーズに薬を受け取ることができた」というのだが、私の場合、いつも飲んでる薬なんてないから、スルーしちゃっていいだろう。
2番目の、夫婦円満に「手書きの交換日記」だなんて、今さらなあというわけで、これもスルー。ハートマークだらけのケータイ・メールじゃだめなの? という気もするし、そもそも、1番と 2番は、なんだかとってつけたような感じがする。
もっとも、高血圧かなんかの持病があっていつも薬を飲んでいるという人は、「おくすり手帳」をしっかり肌身離さず携帯しておく方がいいのかもしれない。そこまでは否定しない。
3番目の「手書きはタイピングより記憶に残りやすい」というのは、ようやくまともな理由が出てきたなという気がする。実感として、これはありかもしれない。記事中にタイピングと手書きの記憶に関する効果に関する研究結果が照会されていて、やはり手書きの方が記憶に残りやすいんだそうだ。
アルファベットだけのヨーロッパの研究ですらそうなんだから、漢字仮名交じりの日本語だったら、さらに手書きに有利かもしれない。しかし、記事中の次の指摘は、どうなんだろう?
つまり、スケジュール管理する場合でも、手書きのほうがデジタルよりも書いた時点で記憶に残りやすいので、いちいち手帳を見返さなくても大事な予定をすっぽかすようなミスが起こりにくいというわけですね!
これはちょっと、言わなくてもいいことまで調子に乗って言っちゃった感がある。メモに書き残すというのは、後で読み返して確認するためなんだと思うが、こんな風に言われると、手書きにしたおかげで、ちょっとした記憶違いに気付かずに、約束の時刻に遅れるなんてことはないだろうかなんて、突っ込みたくなってしまう。
そして、後で確認することまで考えると、デジタルの方がずっと確認しやすい。
というわけで、私は平成 21年(2009年)の秋に iPhone 3GS を買い、その冬に長年愛用してきた 『超整理手帳』 を放棄して、以来 iPhone 派だ。考えてみれば、紙の手帳を捨ててからまだ 3年足らずなのだが、もうずっと前から iPhone で生きてきているような気がしている。
とはいえ、紙媒体をまったく使わないというわけではなく、仕事上の取材や打ち合わせなどでは、小型のノートを使いまくっている。だからありがたいことに、大事なことは記憶にも残りやすい。
ただ、どうしても「下書き」とか「単なるメモ」みたいな使い方になるので、走り書きばかりだ。すると、ちょっと七面倒くさい漢字はパスして、カタカナになってしまう。どうせ公式文書や原稿にする時には PC を使うから、手書きで面倒な漢字を使う必要は、あまりない。
というわけで、やっぱり漢字は忘れてしまうなあと思う。
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コメント
「命に関わる」くらい重要な情報だったら、アナログ・デジタルの両方で管理するのが筋のような気がします。おくすり手帳(紙)を取りに戻ろうとして避難が遅れた、なんてことにもなりそう……。
デジタルの美点はtakさんも「後で確認するには」と指摘されていますが、検索性の高さですね。私は家人と頻繁にメールをやり取りしていますが、「あのとき行った店はどこだっけ」とか「何を食べたっけ」とか、ちょっとした情報を後から確認できるのがけっこう便利だったりします。
意外に「手書きもいいなぁ」と思っているのが、あまり長くはないが、それなりにまとまった量の文章を書くときですね(後でデジタル清書するのが苦にならない程度の量)。考えを整理してから書くので、むしろ効率がよいこともあります。
そういえばtakさんは、和歌を詠むときはデジタル? 手書き?
投稿: 山辺響 | 2012年7月23日 09:06
山辺響 さん:
アナログ、デジタル両方での管理というのは、かなり核心をついていると思います。停電して、バッテリーも上がっちゃったら、アナログしか読めないし。
デジタルの検索性の高さは、iPad でつくづく感じます。これはもっと強調されていいですね。
あとでデジタル清書するメモ (私の場合は走り書き) というのも、かなり重要です。これは今のところ、最強の武器かもしれません。
私の場合、和歌はデジタルで詠みます。和歌とデジタルの相性は、意外にいいですよ。
投稿: tak | 2012年7月24日 00:46