民主党の「日本再生戦略」
政府・民主党がこのほど発表した「日本再生戦略」は、2020年まで実質平均 2%程度の経済成長を目指すとしている。そのために、医療や環境などの分野で新たに 100兆円以上の市場を開拓し、420万人の雇用を創出するのだそうだ。(参照)
前回の総選挙で発表したマニフェストをことごとく反古にしてきた民主党のいうことだから、到底まともには信用する気になれないが、エネルギー、健康、農林漁業の 3つを重点分野として、優先的に取り組むという方向性だけは誤っていないと思う。
再生エネルギー開発の必要性と、長寿化に伴う老人の増加は、必然的にエネルギーと健康分野の市場の拡大を生み出す。これだけは誰も否定できない。そして、食糧安保や国土保全の観点からも、農林漁業の見直しは避けて通れない。
つまり、民主党の提案は総論的には十分に OK なのである。問題は各論だ。実際上の運用がどうなるかで、政策の成否は変わってくる。問題は、小手先部分でコロコロ変わる民主党に、この重要政策が任せられるかである。
ある意味、総論部分はどこの政党に提案させてもそれほど変わらないのではないかと思う。ということは、どの政党が運用上の能力があるかということが問題なのだ。それを考えると、自民党はボロは出さないだろうが、画期的な運用は期待できず、他の政党は、能力的に疑問が残る。
日本の政治の不幸はこの辺にあると思う。堅実だけれど何も変わらない路線と、革新的だけれどすぐにこける路線の、二者択一を迫られてしまうのだから。
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コメント
小沢信者とかじゃないんど、頑張ってもらいたいですね!
投稿: おざわん | 2012年7月26日 00:44
いつも楽しく拝見させて頂いております。
Sennaです。
なんか、こんなに信用できない記事もめずらしい(苦笑)
全然関係ないですけど、こちら(千葉)は今現在ゲリラ豪雨中です…
やっぱり、凄い雨量ですね。これで少しは気温が下がれば良いけれど~
投稿: Senna | 2012年7月26日 15:23
この3つって、いずれも大義名分の衣の下に隠れた利害に基づく非合理的な政策が幅を利かせそうな分野ですね。
医療に関していつも疑問に思うんですけど、成長分野ってどういう意味で言ってるんでしょうかね。単に老人が増えるから需要が増大するっていうだけなら、何もしなくたって製品やサービスを提供する側から見れば成長はするわけだけど、政府としては医療費のことを考えなきゃならないわけで。
需要拡大と社会保障費抑制の必要性を考えると、漠然としたメリットとして謳われている「雇用の拡大」というのは、実は「雇用問題の拡大」になりかねないです。医療に関する製品、サービス、ビジネスモデルを輸出するということならば、少しはわかりますが、いずれにしても生産性の上昇を促す改革が必要なのに、民主党や自民党の政治家の政策バイアスから考えると、むしろ非効率な既存制度を保全するためのバラマキ政策が目白押しになりそうな気がします。昨年話題となった薬のネット販売規制が良い(いや、悪い)例です。
投稿: きっしー | 2012年7月26日 16:29
おざわん さん:
>小沢信者とかじゃないんど、頑張ってもらいたいですね!
ごめんなさい。意味不明で、レスのしようがありません。
投稿: tak | 2012年7月26日 20:53
Senna さん:
>なんか、こんなに信用できない記事もめずらしい(苦笑)
自民党政権時代と相変わらず、官僚の作文みたいですが、あれほど 「政治主導」 と言っていた党から発表されたわけなので、一層 「信用できない感」 が増幅されているだと思います。
投稿: tak | 2012年7月26日 20:55
きっしー さん:
私は 「医療」 というより 「介護」 という名目の 「老人対策」 が、「成長分野」 だと思っています。
ただ、この分野は 「福祉」 という名目の金食い虫でありますから、他分野の成長が阻害されるおそれが多分にあります。
本日、日本人の平均余命が香港に抜かれたというニュースがありましたが、個人的には、長患いをせずにさっさと寿命を全うできるようにする分野が成長してくれるといいと思っています。
誤解を恐れずに言えば、医療というのはむやみやたらに治療する (病気を長引かせる) のではなく、頃合いを見計らってスムーズにあの世に行けるような方向に向かうべきで、その前段階の 「介護」 は、十分に成長産業なのではないかと。
投稿: tak | 2012年7月26日 21:05