コピーと偽物
タブレット端末のデザイン特許侵害として、アップルがサムスンを訴えていた裁判で、イギリスの高等法院が「サムスンの商品はアップルほどクールじゃない」という理由で、アップルの訴えを退けたというニュース(参照)には、思わず声を出して笑ってしまった。
よく「相撲に勝って勝負に負けた」などと言うことがあるが、アップルにとってはまさにそんなところだろう。普通にみれば「実質、アップルの勝ち」ということになるんじゃなかろうか。
このニュースで考えなければならないのは、「まあ、誰が考えても、デザインはこんなような形になるんだろうな」というようなものを、最初に特許登録してしまえば、ものすごく大きな先行者利益が発生するということだ。これって、ある程度は当然だけれど、行き過ぎは考えなければならない気がする。
それから、意識してデザイン・コピーしちゃった場合は、敢えてちょっとダサめにしてしまえば、特許侵害にならずに済むかもしれないという、変てこな前例ができちゃったということだ。これもまた、いいような悪いような、複雑な気がする。
例えば、洋服の場合は誰がデザインしても、首が一つに、袖が二本ということになるわけで、本当に微妙な違いが問題になる。ちょっとダサめにしてしまえばコピーにならないのかもしれないが、洋服となるとなかなか意識してダサくするわけにいかない。
しかし、実際問題として、コピー商品の多くはやっぱりダサいのだ。素人目ではほとんど見分けがつかないのは、コピーではなく「偽物」ということになって、それは韓国や中国に行けばゴロゴロある。ある意味、見分けがつかないぐらい簡単に真似られるというのは、ちょっと考え物ではある。
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コメント
実質サムスンの勝ちです。
高等法院が何を言おうが、それがクールかダサイかを判断してお金を出すのは普通の一般人です。
そして、普通の人はサムスンのものでも十分にクールと感じてお金を出してるわけです。だからアップルがこりゃたまらんと訴えるわけでして。
販売差し止めできなければ、まったくの無意味。
投稿: 7743 | 2012年7月12日 22:49
7743 さん:
>販売差し止めできなければ、まったくの無意味。
そうですかねえ。
販売差し止めを本気で求めていたとは、私には思えないんですが。
投稿: tak | 2012年7月13日 23:07
権利争いってかなり疲れる。もうっほんっとうに私にはどうでもいいようなことでも権利主張して疲れる。
チョ-×3疲れる→
アップルのいくつかの件においても、
『私の魅力に気づかないのなら別にいいもんっ』って、ほおっておけない世の中ですから、
知らないで対処しないと食われる。
バカらしいから、このように取下げとなったのカナ。また裁判官にとっては十分な根拠があったし。私から見て意味のない価値でも、企業から見れば大きな無形財産ですもの。
被告に挙げられた側のデザインがダサいから回避できたのではなくて、積み上げてきたものがなければ表せれない輝き(アップル製品というもの)があったから。そうだ、そうだ、わかるのはファンのみだ。と、思っています。
品物を厳選して選び出したのと、ただ真似をしたのでは苦労が違って扱われ方も違うと思いますし。服でいうなら、布の扱いから、縫製の丁寧さの違いで、いくら高級ブランドといえどこうるさい人がみれば、値段だけ高くとっているかどうか分かると思います。
もし、一流といわれる人が、新品の服なのに、糸のほつれのあるものを着ていると、中身がなくフリだけなのだと思う。それを選ぶのは個人の力量でしょうかね。
話がそれましたが、今のまま(自分を守るための主権)を維持するためには、知って回避して回避して。
回避してやる(`へ´)/はて、どう対処しよう。調べて考えなければ。
知的財産権の攻防は、人間の抜け目なさが必要と感じております。Takさんが感じているような、過剰防衛しかないのでしょうかね。逆にゆるく防御して、泳ぐことはできないのでしょうかね。
と、この記事を読んで思ったことです。
投稿: BEKAO | 2012年7月18日 17:21
BEKAO さん:
私は知的財産権に関しては、明らかな盗作 (つまり、意匠的にいろいろな選択肢があるにも関わらず、それらを無視して、どうみてもコピーとしか思われないこなし方をしている) というのでなければ、あまり目くじら立てちゃいかんという立場です。
「入会地」的な意匠、つまり、誰もが気軽に借用できるようなアイデアは、あってしかるべきだと思います。
前にも書きましたが、いわゆる「萌え絵」 の女の子というのは、私にはとんと区別がつきませんが、コピーだといって訴える人はいません。
それから、和歌の世界の「本歌取り」 なんていうのも、なかなかいいシステムだと思います。
Apple の場合は、入会地にあまりにも堂々と入ってこられるのを嫌ったんでしょうね。少なくとも、「ここは、実質的には入会地だけど、地主はあくまでも俺なんだから、もう少しおずおずと入ってくるんだぞ!」 とアピールしたというか。
投稿: tak | 2012年7月18日 18:26