オリンピックとパラリンピックを同時開催せよという美しい議論
オリンピックが真っ最中だというのに、それが終わってからのパラリンピックの話になってしまって恐縮だが、世の中には、オリンピックとパラリンピックを同時開催すべきだという議論があると知って、ちょっと驚いた。パラリンピックを特別視せずに、オリンピックと同じ土俵上で開催する方がいいというのである。
まあ、気持ちはわかる。単純に情緒的に考えるならば、同時開催のコンセプトはとても美しいし、それでこそ人類愛の精神が真の意味で発揮されるだろう。くさすつもりは毛頭ないのである。
ただ、運営する側の身になって考えると、同時開催はかなり重荷だろう。私が運営側だったら、「人の身にもなっておくれよ。オリンピックをつつがなく運営するだけでも大変なんだから」 と、泣きを入れると思う。
単純に考えるだけでも、限られた期間内に同時開催をこなすには、会場が足りなくなるだろう。会場が確保できたとしても、今度は運営側の人員確保が大変なことになる。それならば会期を延長すればいいというかもしれないが、そんなことをしたらダレるだろうし、途中で選手が続々と帰ってしまって、閉会式が淋しくてたまらなくなる。
部外者が理想論で美しいことを考えるのはいいが、それをあまりにも気軽に口に出して要求するのは考えものだ。当事者にしてみれば、無茶なプレッシャーになることがあるからだ。「そんなの無理」と、あっさり拒否すると、不人情な言い草に思われかねないというのも、気の毒なことである。
私としては、両方をきちんと運営するには、やはり現状通りに、オリンピックが終了して 1ヶ月ぐらい経ってからパラリンピックを開催する方がいいだろうと思うんだがなあ。どうして連続開催じゃダメなのかというと、やはり、運営する側にも一息つかせてあげたいしね。
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コメント
公平性をあまり厳密に突き詰めると、「パラリンピックは障害者を特別枠扱いして不公平だ!」なんて話になってしまいますしね。
同日開催なんてもし実現したら、否応なしに「特別扱い」も強調されてしまいます。公平主義が行きつく果ての悪平等というものでしょう。
そもそも同時に開催されていたりしたら、選手にだってプレッシャーだと思うのです。
オリンピックとパラリンピック、どちらの参加者にも要らない負担を押し付けることになりかねません。
ことオリンピックは建前の上でも、「世界一を競う祭典」であるわけですから。
頂点を競うべき参加者に、場外への過剰な配慮まで要求するのはいかがなものかと。
投稿: kanata | 2012年8月 3日 22:46
kanata さん:
公平性を突き詰めると悪平等になるというのは、あちこちで見られるケースですね。
美しい要求を実現すると、現場は醜い混乱になるというのも、よくあることです。
あんまりのほほんと美しい要求をする人というのは、現場の苦労を知らないんだという気もします。
投稿: tak | 2012年8月 3日 23:10
同時にやるデメリットもあるんでしょうけど、同時の方が
いろいろコストもかからないと思いますよ。
開会式も閉会式も1回ずつですむわけだし、現場現場って言うけど、ここのブログ主がオリンピックの現場をそこまで知ってるのかって話でね。
>会期を延長すればいいというかもしれないが
そうでしょ。オリンピックの会期プラスパラリンピックの会期を合わせたくらいの会期ですむんだし。
>そんなことをしたらダレるだろうし
単なる主観的推測でしょうな。
投稿: どうもね | 2012年8月30日 19:14
どうもね さん:
>開会式も閉会式も1回ずつですむわけだし、
めっちゃ長いセレモニーになるでしょうね。
選手も運営に当たるスタッフも気の毒です。
>オリンピックの会期プラスパラリンピックの会期を合わせたくらいの会期ですむんだし。
本文でも触れてますが、選手が続々と帰ってしまって、淋しい閉会式になります。
投稿: tak | 2012年8月30日 21:35