バイリンガルは、「メンタルな機敏さ」 がある?
Slashdot に "バイリンガルな子供は「頭がいい」?" という記事を見つけた。バイリンガルな子供はそうでない子供と比べ、問題解決スキルや創造的思考が長けていると示唆する研究成果があるんだそうだ。
ちなみに、このことを発表した英国のストラスクライド大学のニュースリリースは "Bilingualism 'can increase mental agility'" (バイリンガルであることはメンタルな機敏さを増大できる)というタイトルになっている。「メンタルな機敏さ」というのは、なんとなく惹かれるコンセプトである。
バイリンガルの子は、言語分野のみならず、算数や問題解決能力、創造的思考をも発達させるほか、単語の意味をより細部まで豊かに把握する力がつくという。これって、ニュアンスに至るまでの理解力があるってことだろうか。さらに重要な情報に集中することができる「選択的注意」と呼ばれる能力も高いことがわかったという。なかなかいいじゃないか。
研究では、「二つの言語を切り替えるのには『頭の回転』とも言える精神的な敏捷性が必要であり、これが訓練されることにより他の思考型の発達も促されるのではないか」と分析されている。うぅむ、私はこういうのにぐっときてしまうなあ。
記事によれば、この研究はスコットランドおよびサルディーニャの 9歳前後の子供 121人を対象に行われたという、このうちほぼ半数の 62人が、英語とゲール語(ケルト語に属する言語)、もしくはイタリア語とサルディーニャ語のバイリンガルであったという。
サルディーニャというのは、地中海に浮かぶイタリア領の島だと、今回調べてみて初めて知った。イタリア語とサルディーニャ語が話されているという。スコットランドでゲール語が話されているようなものだ。
しかし、ゲール語は文学作品が豊富にあり、教育も確立されているのに比べ、サルディーニャ語は口頭言語であり、言語自体の標準形式が確立されておらず教える学校も少ないとのことで、その影響によるものなのか、英語とゲール語のバイリンガルの子供の方が、実験結果が良かったというのである。
実は私はこの記事を読み始めた時、「俺だって、日本語と庄内弁のバイリンガルだし……」と、多少気分がよかったのである。「方言にすぎない庄内弁がペラペラだからといって、バイリンガルというのはどうか?」なんて言われそうだが、共通語と庄内弁の違いは、確実にスペイン語とフランス語以上である。これはもう、実質バイリンガルと言っていい。
だが、口頭言語でしかない庄内弁は、どうもサルディーニャ語のポジションの方に近いようで、ましてや庄内弁教育なんて全然確立されていない。とすると、期待される「メンタルな機敏さ」は、それほどじゃないかもしれない。
というわけで、私のメンタルは「やや機敏」 程度ということにしておこう。
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