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2012年10月 2日

太陽光発電は公共投資としてかなりおいしいらしい

MSN 産経ニュースの「プラチナ日本」に、三菱総研理事長の小宮山宏氏が、「未来につながる公共投資」として、太陽光発電の有用性を述べている。「脱原発」とは言っていないが、太陽光発電の拡大は、当然ながら原子力発電の比率を下げることになる。

産経新聞は全体として原発維持のトーンで書かれた記事が目立つが、この記事に関しては、間接的ながら脱原発につながる道を開くものとして、注目されていいと思う。

小宮山氏の主張の基本は、「太陽電池はコストが課題といわれているが、公共投資先として考えれば、既に安い電力になっている」ということだ。その根拠の一つは、太陽光パネルの耐用年数がかなり長いということである。巷間言われているような「15~20年が寿命」なんていうのは、まったく根拠がない。

例えば奈良の壺阪寺の太陽光パネルは、30年経っても順調に稼働中である。まだ一度もへたっていないのだから、耐用年数が何年なんてことはいえない。最新の設備はさらに進化しているのだから、うまくメンテしながら使い続ければ、ほとんど半永久的みたいなものかもしれない。

第二の根拠は、年金などの公共投資先としてきわめて有望であるということだ。1kwh あたりの設置価格が 30万円で、生産した電力をを 42円で買い取ってもらえるということは、年間平均で 46,000円の売電が可能であり、初期投資に対する利益率は 15%にもなる。そして、それが 20年間保証される。

20年経っても壊れないのだから、あとは延々とコスト・ゼロで発電し続けられる。こんなおいしい話は詐欺でもなければないほどだが、ちゃんと政府が保証してくれているお話で、決して怪しいものじゃない。しかも、早めの投資ほど有利だ。

「太陽光発電のコストは国民が負担することになる」と言われているが、公共投資によって経済が刺激され、拡大するならば、コンクリートや箱モノ的な、後から金食い虫になってしまうものを作るより、ずっと生産的である。文字通りの重い負担にはならない。

原発を建設する予算があるのなら、メガ・ソーラーを作る方がずっとましである。原発なんて、せっかく作っても廃止される可能性があるじゃないか。再生可能エネルギーなら廃止のリスクがない。

もっとも、私としては太陽光発電の基本は、個人住宅の屋根とか、工場の屋根や敷地とか、ビルの壁面とか、小規模な設備を数多く点在させることに意味があると思っているので、メガ・ソーラーに頼りすぎるのはいささか邪道だと思っているのだが。

 

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コメント

蓄電技術が発達します。

家庭用ソーラーで、ことごとく蓄電して、家庭用のサイクルを構築したら…。

商業用発電は、いわゆる法人対応に特化されていくものと。

地域限定のソーラー発電設備など、メガよりも効率的だと思います。
(ソーラー不向きな地域は特に)

電気を敬遠する生活は不可能に近いと思いますが、仕組みを変えて“需要と供給”が成立したら、少なくとも原発依存は“ありえない”こととなるかもしれません。


(すんません。支離滅裂に酔ってます…。)

投稿: 乙痴庵 | 2012年10月 3日 01:43

乙痴庵 さん:

確かに、原発は中央集権的発電というか、電力会社に特権化された発電というか、既に時代遅れの発想なんだということですね。

投稿: tak | 2012年10月 3日 07:04

財界べったり=原発擁護の日経新聞でも、再生可能エネルギーへの投資が大きな記事になっているのを目にします。金儲けに敏感な人は、すでにそっちにも向かっている(^^; 政治家や官僚にとっても甘い汁があると思うんですけどねぇ。

投稿: 山辺響 | 2012年10月 3日 09:04

もっと安くなると導入を考えるんですけどねー。
回収できないとなると、二の足を踏んでしまいます。

投稿: hiroyuki | 2012年10月 3日 15:24

こういう話になると、いつも部分に目が行って正しい情報を与えられているのか慎重になってしまいます。
そもそも、耐用年数20年というのは誤解ではないか。20年しかもたないとはメーカーは言っていなくて、20年保障とかそういう意味でしょう。車の耐用年数だってどこまで使えるかとは関係ないし。
パネルそのものより、20年の間で系統接続用の装置のメンテとかシステム上のトラブル、天災のファクターの方が大きいんじゃないだろうか。
いつも、話には裏があるので、新聞記事とかで、いい話だけとか、ケチだけつけるようなものは余り信じないようにしています。

投稿: 亀之助 | 2012年10月 3日 16:38

山辺響 さん:

別に「脱原発」のコンセプトがなくても、再生可能エネルギーへの投資は促進されるということですね。

まあ、それならそれで、結果オーライかもしれませんけどね。

投稿: tak | 2012年10月 3日 20:52

hiroyuki さん:

長期的にみれば、確実に回収されるんでしょうけど、短期的には、初期投資が大変ということがありますね。

量産化で回収の期間が大幅に短縮されれば、導入しない方がバカってことになるんでしょうね。

投稿: tak | 2012年10月 3日 20:54

亀之助 さん:

パネルの耐久性は、実際にはかなりのものらしくて、先日のものすごい雹の時にも、びくともしなかったようです。

あとは、部品交換などで結構もつもののようですよ。

「20年しかもたない」 というのは、原発推進派の思い込み、あるいはデマなんじゃないかと。

投稿: tak | 2012年10月 3日 20:56

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