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2012/12/11

「そこはか」って何だ?

「そこはか」という言葉がある。もっともそのまま使われることはまずなくて、大辞林の見出し語にあるのは「そこはかと」という副詞、「そこはかとない」という形容詞、そしてその変化形と思われる「そこはかとなく」という副詞の 3語だ。

大元となるのは「そこはかと」という副詞で、「はっきりと、分明に」という意味だ。その語源というのは、「"其処" は "彼" と」で、大辞林によると「どこがどうであるとさしていえるほどに、場所や物事の明瞭なさま」ということのようである。

この場合、「は」 と表記される部分の発音は "wa" に変化せず、"ha" のままだから(もっとも、この言葉ができた頃は "pa" とか "fa" とかという発音だったから、変化していないというわけじゃない)、元々「そこはか」という独立した語があるかのように錯覚してしまいがちだが、「そこは、○○だよ」 と、はっきりいえるというような意味合いだというのである。

「たそがれ」の語源が「誰そ彼」で、「あそこにいるのが誰かと訪ねたくなるくらいに、暗くなりかけた時分」というのを想起させるような言葉だ。ちなみに、明け方の暗い時分は「かわたれ時」と言って「彼は誰」が語源である。もっともこれは古くは、明け方と夕暮れ時の両方に使われていたが、後に明け方限定的な言葉になったらしい。

これは発音も「かはたれ」が「かわたれ」に変化して、現代かな表記も、実際には滅多に使われないとはいえ、「かわたれ」になっている。「そこはかと」は、より古い形のまま残っているわけだ。

「そこはかと」は、はっきりしない、明確でないという場合は、「そこはかとない」という否定形で表される。「そこは○○だよと言えないほど不明瞭」というわけだ。

さらに「そこはかと」という言葉はややこしいことに、「そこはかとなく」と言わなくても、「そこはかと」のままで、「何かはっきりしないさま」とか、「なんとなく、どうということもなく」という意味を表すこともあるのだ。まったく逆の意味合いである。ややこしくてしょうがない。

大辞林には、"「はか」は「計り」と同源で、目当て・当てど、の意味か" とあり、この場合の 「そこはかと」は、「"其処" は "彼" と」ではないようなのである。同じ音の言葉なのに語源が 2通りあり、その語源の違いによって意味も反対になってしまうというのだ。ああ、本当にややこしい。

 

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