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2013年1月 5日

お前と共に年を取れ

半年ぐらい前からずっと書こうと思っていながら、いざ PC の前に座ると忘れてしまっていたことを、今さらながら書く。まあ、そんなにしょっちゅう忘れてしまっていたのだから、まったく大したことじゃないのだが、近頃ちょっとネタ切れでもあるので、思い出したように書かせていただく。

何かというと、ゼクシーというブライダル・ビジネス大手の CM の件である。この会社、ずっと "Get Old with You" というキャッチ・コピーを使っていた。これ、一体何だ? 「お前と共に年を取れ」って、どういう意味なんだ?

そう思っていたら、たまたま「日本人のヤバイ英語」というブログの「佐川急便の Fit Your Business はなんと...命令形だよ!」という記事に遭遇した。この記事は、佐川急便の "Fit Your Business" と、Docomo の "Walk with You" というキャッチ・コピーを俎上に挙げている。

いやはや迂闊にも、佐川急便と Docomo の件に関しては、このブログを読むまで知らなかった。知ってたら、ゼクシーの CM と同様、「お前の仕事を適合させろ」って何に適合させるの? とか、「お前と共に歩け」って、一体どうすることなんだ? とか思ったはずである。

「日本人のヤバイ英語」の記事で「なるほど」と思ったのは、これらのヘンテコな英語の当事者は、決して命令形のつもりで使っているのではなく、主語の "I" とか "We" とかを省いているだけのつもりのようだということだ。

つまり、ゼクシーの CM は、「(私は) あなたと共に年を取るわ」と言いたかったのであり、佐川急便と Docomo はそれぞれ、「(私たちは) あなたのビジネスにフィットします」(そうだとしても変な英語だが)、「(私たちは)あなたと共に歩きます」 と言いたいみたいなのである。

それにしても、ヤバイよね。主語なしでいきなり動詞を言ったら命令形になるというのは、中学英語で最初に習うことだもの。(言うまでもないけど、"Stand up" とか "Sit Down" とかね)

で、ゼクシーがまだマシだと思うのは、去年のうちにこのヤバさに気付いたみたいで、いつの間にか "Get Old with Me"(私と共に年を取ってね)に、さりげなく変わっちゃっているということである。このすっとぼけ方は絶妙である。

それに比べて、佐川急便Docomo(それにしてもこのサイト、手が込んでるだけで、ものすごくつまらない) は、まだやってるものね。すっかり小回りの利かない大企業体質になっちゃったんだなと思う。いつまで続くかわからないけど、一応リンクしておいたので、お暇な方はご覧あれ。

 

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コメント

ドコモのサイトは↑のも本家のも、見づらいですよね…
昔庄内さんが仰ってたデザイナーズブランドのサイトみたいで…
o(;△;)o

投稿: hiroyuki | 2013年1月 6日 20:09

hiroyuki さん:

>ドコモのサイトは↑のも本家のも、見づらいですよね…

本当ですね。
いろんなものを詰め込みすぎで、とりとめがないというか。

投稿: tak | 2013年1月 6日 22:21

それに加えて、ゲット ォ~ルド ウィズ ユー のト と ド に強勢がかかっていて、完全なカタカナ英語で、脳内が一瞬 ウッ となりましたね。(若者に良く見られる発音、アクセントのつけ方)

聞く度に、この会社何考えてるのかなあと思っていました。
ウィズ ミー のお惚けバージョンは、どうなっているのかアクセントをチェックしてみます。

投稿: ハマッコー | 2013年1月 7日 22:06

ハマッコー さん:

へえ、歌まであったんですか。
(私は活字媒体でしか知らなかったもので)

私としては、"Walk with You" に、よりウッとなってます。
「分身の術を使えってのか?」 と。

投稿: tak | 2013年1月 8日 01:18

もっとレベルの低い、というか、文法とか関係のない話ですが、電車の広告で見たこれ(下記URL)には唖然としました。「いや、ネタでしょ」と家人と話していたのですが、このサイトを見る限りでは…本気かも?

http://www.kirin.co.jp/brands/nodogoshi/campaign/dream/index.html

投稿: 山辺響 | 2013年1月 8日 10:02

山辺響 さん:

なるほど (^o^)
ツッコミどころはざっと、こんなところですか?

「夢のドリーム」
(夢でないドリームがあるのか?)

「夢のような体験を抽選で……」
(「夢」なのか?「夢のような」なのか?)

「映画館を貸し切って」
(映画館オーナーでなければ無理)

「1泊2日! 日本縦断ラーメン紀行」
(移動だけで終わりそう)

投稿: tak | 2013年1月 8日 10:56

あれ、しかし考えてみたら「貸切」は「借りる側」でも普通に使いますね……。本来は貸し主側の言葉なんだろうに。

「夢のドリーム」という言葉はさておき、このキャンペーンがうんざりなのは、「夢」を書いて応募しろということなのに、その夢をどうにかして叶えてくれるのではなくて、募集側が勝手に設定した「夢のような体験」を押しつけられる、というところですね…。

そういえばGrow Old With Meというジョン・レノンの優しい曲がありました。

投稿: 山辺響 | 2013年1月 9日 18:46

山辺響 さん:

>あれ、しかし考えてみたら「貸切」は「借りる側」でも普通に使いますね……。本来は貸し主側の言葉なんだろうに。

名詞として、「貸切バスで行く」とか「貸切の会場」とかは言いますが、動詞として「バスを貸し切って行く」とか「会場を貸し切って」とか、フツー言わないと思いますがね。

そんなわけで「映画館を貸し切って……」には、違和感覚えます。

>「夢」を書いて応募しろということなのに、その夢をどうにかして叶えてくれるのではなくて、募集側が勝手に設定した「夢のような体験」を押しつけられる、というところですね…。

確かに。
夢を書くだけ馬鹿馬鹿しいですね。

>そういえばGrow Old With Meというジョン・レノンの優しい曲がありました。

実際の歌詞では

Grow old along with me

と歌ってますね。

即物的な "Get old with me" より、ずっとグッと来ます。

投稿: tak | 2013年1月 9日 19:08

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