「虚学」 のプライド
emi さんのブログを読んで、「虚学」という言葉があることを初めて知った(参照)。「実学」という言い方があるとは知っていたが、それに対比される単語があったとは驚きである。意味としては虚ろな学問とかではなく、Wikipedia によると「基礎科学」のことを言うんだそうだ(参照)。「実学」は「応用科学」 である。ちょっと長いが、引用してみよう。
基礎科学(虚学、英:science、希:σχιζειν)とは、基礎的な面から見た分類。通常は、社会・人文・自然科学の総称として用いることが多い。オックスフォード英語辞典の「science」の項には、「直接何かの役には立たない学問。世界の根源を探求する学問」 とある。
応用科学(実学、英:art、希:τεχνη)とは、応用という側面から見た分類。応用科学は、広義に自然科学に含める場合が多い。基本的に、医学部、薬学部、歯学部、獣医学部、工学部、農学部で行っている学問を指すことが多いが、人文科学や社会科学の応用分野についても応用科学とされることもある。実学はその時代の文明や人間活動の役に立つと同時に、基礎科学分野にも影響を与え(例えばモルの研究は蒸気機関発明後になされている)、かつ後世にも多くの普遍的な知識・技術を与えるものである。
なんだかちょっと混乱があるようにも思われる。基礎科学が science で、応用科学が art だなんていう分類が生きて使われている場面に、少なくとも私は遭遇したことがない。
ちなみに私は「文学修士」の学位をもっていて、これは英語でいうと "master of art (MA)" なのだが、上述の分類に従って「応用化学 = 実学のマスター」なんて言われたら、違和感で頭がグラグラしそうだ。
私が専攻したのは「演劇学」という分野で、その中でも伝統演劇、民俗芸能の方にフォーカスしていた。早く言えば、歌舞伎とか神楽とかである。こんなものを研究しても、メシの種には決してならない。「虚学の中の虚学」、「スーパー虚学」である。
emi さんはブログの中で、「実学」は「就活で見栄えが良い」とか「すぐカネになる」分野で、対照的に「虚学」は「就活で武器になりにくく、カネにつながらない」分野だと喝破されている。なるほど、なるほど。確かにその通りだ。
私は好んで金にならない学問をした人間であり、学問というのは本来、そういうものなのだと思ってしまっている。こんな人間がいてもいいじゃないかということだ。
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コメント
人間を理系文系に分けるのはわりと不毛な感じがしております。社会科学系の分野でも論理的な思考力は必須だろうし、論理的な思考力があれば理数が苦手って事にはならないだろうと思ってしまうので。
その点、実学と虚学という分類はイケてる気がしますね。
もしかして欧州ではそういう分類のほうが一般的だったり?
投稿: Cru | 2013年1月19日 12:55
Cru さん:
実は私は、論理的だけど理論的じゃないんですよね ^^;)
投稿: tak | 2013年1月19日 20:13
経済学部が一番つかえない…(´・_・`)
投稿: hiroyuki | 2013年1月19日 21:27
hiroyuki さん:
世の中では、経済学部はつぶしが効くとされてますがね。
投稿: tak | 2013年1月19日 22:38
私もtakさんも、分類の話をしているわけじゃないはずなのですが、そこに興味のある人が多いというのはおもしろいですね。
「桐は草」…でしたっけ?笑。
投稿: emi | 2013年1月23日 05:20
emi さん:
>私もtakさんも、分類の話をしているわけじゃないはずなのですが、そこに興味のある人が多いというのはおもしろいですね。
タイトルがいけなかったかなと思って、大上段に "「虚学」 のプライド" と変えてみました。
投稿: tak | 2013年1月23日 10:10