シニア市場とは
降る降ると言われた雪が降らずに済んだ。気温が当初の予想ほどには下がらなかったので、雪にならずに済んだのだという。
近年は冬が長引いてなかなか本格的な春にならず、寒さに震えながら「春はまだか」と呟くのがお約束になっていたような気がするが、もしかして今年の春は早いのかもしれない。北陸では昨年より 1ヶ月以上も早く春一番が吹いちゃったというし。
そもそも、関東に雪が降ること自体が、冬ではなく春先の現象なのである。日本海側の雪と関東の雪は、降るメカニズムが違うのだ。関東に雪が降るという予報が、気温が下がらなかったので外れたというのは、まさに春の訪れそのものである。とはいえ、一転して冬型に戻って、日本海側では暴風雪になるらしいのだが。
実は今日はこんなことを言いたかったのではなく、今シーズンの冬山で、高齢者の遭難が目立ったということを取り上げたかったのに、つい話の「マクラ」的に「春が早いかも」なんていう希望的観測を言ってみたくなったのである。まあ、人情としてお許し頂きたい。
冬山で高齢者の遭難が相次ぐなんていうのは、私が若かった頃はなかった話である。世間では「どうしてまた、年寄りが冬山なんかに登るんだろうねえ」なんて不思議がる人もいる。昔、とくに 1960~70年代には、冬山での遭難といえば、若い者の専売特許だった。例えば大学の山岳会みたいなのが、盛んに冬山に挑戦して遭難していたのである。
しかし、よく考えてみていただきたい。昔遭難していた人たちと、近年になって遭難している人たちというのは、別物ではない。同じ人たち、というと誤解が生じるから言い直すが、同じジェネレーションの人たちなのである。あの頃の大学生が、今「高齢者」 と呼ばれるようになって、まだ冬山に登っているのだ。
ちょっと視点を変えると、今の「高齢者」は、年寄りじゃない。「年寄りの皮をかぶった団塊の世代」なのだ。彼らはまだまだ意気盛んであり、徒党を組んで突進するパワーというのは、半端じゃない。道がちょっとでも開けさえすれば、どっと繰り出すのだ。そういう世代である。
そもそも、今の高齢者は、波平さんやフネさんではない。それどころか、サザエさん、マスオさんですらない。サザエさんがスタートした 1950年代初頭に小学生だった世代、つまり 60年前の小学生は、既に 70歳を越えている。カツオ君なんて、実は戦中派だ。
今のシニアの中身は、タラちゃん、イクラちゃんなのである。「年寄りのくせに山登りする」世代ではない。「昔から山登りしていた人たち」が、たまたま年寄りっぽい外見をまとっただけである。
ここを見誤って、波平さん、フネさんをイメージしてしまうと、シニア向けマーケティングは破綻する。
| 固定リンク
「マーケティング・仕事」カテゴリの記事
- ワタミのサブウェイ買収というニュース(2024.10.25)
- ビジネスメールの署名に勤務時間を明記することの意味(2024.10.05)
- 「ヴィレッジヴァンガード」という店の失敗とは?(2024.09.14)
- レナウンが名実ともに消滅するというので(2024.07.14)
- 「50歳からの」という通俗マーケティングの怪現象(2024.02.15)
コメント
まさにその通りですね。私の友人なんかは定年を期に JAZZ に凝って、楽器をしこたま買い込んでますね。100万は使ったと思われます。JAZZ を聴きにいっても客の平均年齢は60歳とみました。若者といえば、おじさんに連れてこられた30歳位の女性だけですね。若い男性はゼロです。
登山用品店に行ってもおじさんおばさんばかりです。
高級オーディオにお金かけてるのもシニア層ですね。今の若者なんてオーディオなんて全く興味がないみたいですね。
若い頃からやってみたかったけど、お金と時間がなくて出来なかったことがシニア層には出来る。お金も時間もたっぷりあるのだから。
この人たちの夢を叶えてあげる手伝いが出来れば、お金を使ってもらえると思います。
投稿: ハマッコー | 2013年2月 8日 15:45
ハマッコー さん:
>この人たちの夢を叶えてあげる手伝いが出来れば、お金を使ってもらえると思います。
まさに。
投稿: tak | 2013年2月 8日 21:23