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2013年2月22日

「わかっちゃいるけど、止められない」 理論

「類は友を呼ぶ」を裏返せば「類は呼ばれて友となる」のだろう。その意味で、Wired の "肥満はなぜ「伝染」するのか: 実験結果" という記事が、とても興味深い。ネガティブなイメージに接した時、意識的には「こりゃ、やべぇ! 気を付けなきゃ」と思っても、無意識はつい呼び寄せられがちになるもののようなのだ。

米国立心臓・肺・血液研究所 (NHLBI) の主導によりマサチューセッツ州フラミンガムで行なわれている疫学調査『フラミンガム心臓研究』(FHS) によって、肥満はネットワークで「伝染」することが実証されている。太った人の姿を見たり、周囲に大食いの人がいたりすることで、食生活が容易に影響され、つい太ってしまうというのである。

研究者たちがフラミンガムの町の社会的ネットワークを再現して研究したところ、ある人が太ると、その友人が太ってしまう可能性は 57%高くなる。同様の可能性が、きょうだい間では 40%、配偶者間では 37%高くなる。遺伝よりもその人のネットワークの方が強く影響するのだそうだ。

また「ルーシーという名前の友人が、最近の休暇で撮影した写真を送ってきた。彼女は標準体重より 11kgほど体重が多い。その写真を見た後で、オフィスの秘書が、クッキーがたくさん載ったお皿を持ってきた。体重が多すぎる誰かの姿を見たことは、これから食べるクッキーの数に影響するだろうか?」という調査結果も興味深い。

上記の質問をされた人の大多数が、「太った友人の写真を見た後では、食べるクッキーの量を減らす」と答え、その中でも 31%の人は、減らすどころか、まったく手をつけないとまで答えた。つまり、「やべぇ、自分も気を付けなきゃ!」と、理性が意識的な警告を発するのである。

しかし我々の無意識というのは、理性よりずっと強い。コロラド大学の研究結果によると、こうした意識的警告は悲しくなるほど無力で、実際には人間は体重が多すぎる誰かの写真を見た後では、より多くのカロリーを取るようになるというのである。

「類に呼ばれて友となる」というか、「朱に交われば赤くなる」というか、まさに「わかっちゃいるけど、やめられない」状態で、我々の行動は理性を裏切る。大衆の理性に期待しても、あっさり裏切られるのも道理で、そもそも人間はそれほど理性的な存在じゃないのである。

そしてこれは逆に言えば、常に「ポジティブなイメージ」に接することが大切というメッセージでもあると思う。

 

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コメント

俺も体重を減らさねば…
(。>0<。)

投稿: ひろゆき | 2013年2月22日 21:11

ひろゆき さん:

理性でそう思うだけではダメですよ (^o^)

投稿: tak | 2013年2月22日 21:12

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