「フランチェスコ 1世」という名のローマ教皇
新しいローマ教皇が決まった。ちなみに日本のマスコミでは "The Pope" を「ローマ法王」と言い習わしているが、私は カトリック中央協議会の要請 を尊重して、「ローマ教皇」と言うことにしている。これに関しては、約 8年前に書いた ヨハネ・パウロ 2世の死去」という記事もご覧いただきたい。
マスコミ「初の中南米出身」ということを強調して報道しているが、私はそれよりも「フランチェスコ 1世」という名前に注目したい。カソリックで「アッシジのフランチェスコ」といえば、日本では「聖フランシス」という呼び方の方が親しまれていて、「サンフランシスコ」の地名の元になった人でもあるが、なにしろ中世イタリアにおける最も重要な聖人の一人である。
聖フランシス - アッシジのフランチェスコという人はちょっと変わった人であったらしく、「裸のキリストに裸で従う」ことを旨として、裸足で歩き、革のベルトではなく縄を腰に巻いて、托鉢修道僧としての暮らしを貫いた。「心貧しいことこそ神の御心にかなう」として、清貧の中に生きたのである。
この辺り、私が時々引き合いに出す父方の祖父、得明和尚も似たところがあった。「坊主は金持ちになってはいけない」と言って、清貧を尊び、決して金のための活動をしなかった。そして私は金儲けの下手さ加減を、祖父から喜んで受け継いでしまった。
聖フランシスはただひたすら神を讃美し、人間だけでなく神のあらゆる被造物を自分の兄弟姉妹のように愛し、福音を伝えた。ウサギ、セミ、キジ、ハト、ロバ、オオカミに話しかけて心がよく通じ合ったといわれるほどである。そのため、先々代の教皇、ヨハネ・パウロ 2世は彼を「エコロジーの聖人」に指定した。
アルゼンチン・ブエノスアイレス大司教のホルヘ・ベルゴリオ枢機卿が、ローマ教皇に就任するにあたり、「フランチェスコ」の名を選んだということは、こうした背景からアプローチすると、なかなか深い意義を感じる。なにしろ、彼の前にこの名を称したローマ教皇は 1人もいなかったのである。だから「フランチェスコ 1世」なのだ。
初めての新大陸出身の教皇であるということも大きなメッセージではあるだろうが、新教皇が化学者でもあり、木製のシンプルな十字架を首に下げ、質素な暮らしを好み、エコロジーの聖人である「フランチェスコ」の名を名乗るという、さらに大きなメッセージに、我々は注目しなければならない。
カソリックの世界にも新しい価値観が導入されるのではないかと、期待されるというものではないか。
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コメント
ついに MacBook Air を買ってしまいました
ヽ(*≧ε≦*)φ
投稿: ひろゆき | 2013年3月15日 19:47
ひろゆき さん:
この記事と関係のないコメントだけど、特別に許します ^^;)
投稿: tak | 2013年3月15日 20:48