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2013年6月17日

「どんじょけり」 という庄内弁

先月末に、高校時代の同級会に行った。昭和 46年卒業で首都圏在住の 20数名がちゃんこ鍋屋に集まって飲んだり食ったりした。しかし、「飲んだり食ったりした」という割には、出席した者はみな、ちゃんこ鍋やにふさわしいほどの量の飲み食いは、できない年になってしまっていた。

そのことについては、先月 28日付の「酒をぐびぐび飲めなくなったので」という記事に書いたが、それ以上にショックだったのが、出席した 20数名のうち、「どんじょけり」という庄内弁を知っている者が、私を含めて 3名しかいなかったという事実である。

「どんじょけり」とは「どじょうすくい」という意味である。それは酒田で育った者なら誰でも知っていることだと思っていたのだが、中学校ぐらいの若いモンならいざ知らず、還暦を過ぎた連中のほとんどが「知らない、使ったことも聞いたこともない」というのである。これが驚愕でなくてなんだろう。

「どんじょけり」が私のデタラメではない証拠に、インターネットにだってきっと登場しているはずだと、「どんじょけり」 をキーワードにしてググってみると、"Mr. モシリの『正しい庄内弁講座』-「と」で始まる庄内の方言-" と "みんなで作る和庄辞典" という 2つのページがヒットした。

「そらみろ、ちゃんとインターネットにだって載ってるじゃないか」と、リンク先に行ってみると、前者には「どんじょけり どじょうすくい  《by tak》」とある。なんだ、ネタ元は私か。これじゃあ、客観的なオーソライゼーションにはならないじゃないか。

後者のページに行ってみると、「どじょうすくい →庄内語 [どんじょけり]」とある。さらに用例まで示してあって、「お父さんは、田んぼにどじょうすくいに行った → だだちゃ、たぁさ、どんじょけりいた 情報提供 : tak さん」とある。なんだ、こっちのネタ元も私か。

しょうがないから、酒田では知らぬ者とてない郷土史家にして昔話の達人、最強の庄内弁の使い手である佐藤公太郎さんの著書 『改装 庄内むかしばなし 唐の大王鳥』 (みちのく豆本の会・刊) から引用しておこう。「兄マの正月礼」 (P129) という話に、次のようなくだりがある。

したバノ、肝煎ど田サ泥鰌 (どんじょ) けり行ったでわっで、田サ行たド。せきンどごで泥鰌けりしったナ、見 (め) るもんだサゲ……

(日本語訳)
そうしたらね、肝煎りどんは田んぼに泥鰌すくいに行ってると言われて、田んぼに行ったんだと。堰のところで泥鰌すくいしているのが見えるものだから……

どうだ、「どんじょけり」は、佐藤公太郎さんの著書にまで登場する、由緒正しい庄内弁だと証明されたではないか。

それにしても、方言は衰退の一途である。本気になって保存しないと、我々の世代が死んでしまったら、まともにしゃべれるやつは本当に極々少数派になってしまうだろう。ああ、心配である。

 

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