日本人の得意技
例の 22日の JR 南浦和駅ホームの件、電車とホームの間に落ちた女性を、乗客らが力を合わせて車両を押して救出したというニュースが、海外でも感動を呼んだらしい。
感動された要因は、主に 2つ。「こんなに大勢の人間が何の打ち合わせもなく協力し合えるのは、世界でも日本人だけだろう」ということと、もう 1つは、「そんな事故があったのに、電車が 8分しか遅れなかったというのは、日本以外ではあり得ない」ということだ。
まず、大勢の人間が一致団結してコト(ただし、シングル・タスクに限られる)をなしてしまうというのは、実は日本人の最も得意とすることだ。国内的にはことさら驚くべきことというほどではないが、世界的には「奇跡」みたいに映るかもしれない。
ただ、日本人は寄ってたかってやっちまうことは得意だが、それの裏返しみたいなことで、個人が率先して何かをやっちまうというのは、かなり苦手である。
今年 5月に書いた "「乙武炎上」を巡る冒険" という記事に、clerk さんが次のようなコメントを付けてくれたのを思い出した。
日本人の公共心は必ずしも低くないと思うのですが,責任や場の境界の様なものに対して遠慮しがちな部分があると思います.
今回のようなケースでも,店員が出てきたなら通りすがりの自分が口を出す問題ではないと思ったり.以前,車椅子の友人と駅の階段に差し掛かった時,一人が気付くと必要以上に大勢の人が集まって手伝ってくれようとするのですが,駅員の一人が来ると蜘蛛の子を散らすように去っていくということがありました.
当時は車いす用の階段昇降機が普及しておらず,結局,その一人の駅員だけでは手に負えないので助っ人の駅員を呼び集めるという手間がかかったのですが.
これは、かなり考えさせられることである。
今回のようなケースだけでなく、乙武さんの車椅子を、数人が自発的にひょいひょい運んでくれるようなことも、ごく当たり前にできるのであれば、日本人は確実に世界に誇るべき特質を持っていると言えるだろう。しかし、それはちょっとビミョーなところだ。使う筋肉が違いすぎるみたいなところがあるかもしれない。
ただ、電車が 8分しか遅れなかったというのは、掛け値なしにスゴいことである。何もなくても、10分以上遅れるのが当たり前という国だって多いのだから。
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コメント
>ただ、日本人は寄ってたかってやっちまうことは得意だが、それの裏返しみたいなことで、個人が率先して何かをやっちまうというのは、かなり苦手である。
そうかもしれません。
以前、交通事故直後の現場に通りかかったことがあります。カローラの下に人が挟まれてました。野次馬が6人ほどいましたがただ見てるだけです。
運転手は野次馬に向かってうろたえながら、「何とかしてよ、助けてよ」と訴えてましたが、それでも野次馬は動きません。私は「みんなで車を持ち上げるんだ」と声をかけたら、野次馬は我に返ったようにサッと車の周囲に集まり、私の掛け声で車を持ち上げました。
私がけが人を車のしたから引きずり出すと、彼は大きく「うーん」と息をしました。車の重さで息もできなかったようです。血のにおいもムッと上がってきました。
自ら率先しては何もしないが、きっかけを作ってあげるとよってたかって事を成してしまう一例だと思います。
私が救助に入ろうとしたときに会社の同僚は「そういうのに係わらないほうがいい」と忠告してきましたが、この辺りが日本人の平均的な精神性かもしれません。
南浦和の件では「駅員」がきっかけを作ったのは間違いなく、もし駅員が不在なら、駅員到着まで何もしなかったと思います。
投稿: ハマッコー | 2013年8月 1日 00:25
ハマッコー さん:
>南浦和の件では「駅員」がきっかけを作ったのは間違いなく、もし駅員が不在なら、駅員到着まで何もしなかったと思います。
私もそう思います。
ちなみに、私も結構、「きっかけ」を作ってしまうタイプです。
http://homepage3.nifty.com/tak-shonai/y_cracks/yc02/c2x0.htm#h141014
投稿: tak | 2013年8月 1日 01:50