ネット選挙の影響なんて、やっぱり限定的だった
今月の 4日、Twitter にこんなような書込みをした(参照)。
ネット選挙と言っても、影響は極めて限定的。政党や政治家は普段通りにブログや Facebook をコツコツやっていればいいだけのこと。そもそもマジメに投票に行く層はネット見ないし、マメにネット見る層は投票に行かない。
まあ、ちょっと考えればそうなるのは、誰だって当然とわかったはずである。産経ニュースは "ネット選挙、有権者冷ややか 「参考にした」わずか1割" と伝えている。やっぱりね。ちょっとだけ引用しておく。
参院選の投票日の 21日に共同通信が全国で実施した「出口調査」(8万784人)によると、投票先を決める上でインターネットの情報を「参考にした」と答えた人は約 1割にとどまった。
(中略)
年代別に見ると、ネットの情報を参考にした割合が最も高かったのは 20代で、23.9%だった。30代は 17.9%、40代は 12.6%と年代を追うごとに割合は下がり、70代以上ではわずか 6.1%。ネットの利用度の違いとみられる世代間の差がくっきりと表れた。
この調査は「出口調査」なので、調査対象は、実際に投票所に足を運んだ人たちである。いくら 20代の 4分の1 近くがネット情報を参考にしたからといっても、投票所に行く 20代の人間の数は少ない。そして投票率の高い年配者はネットなんか見ない。だから、ネット選挙の影響は非常に限定的なのは当然だ。
そもそも今回の「ネット選挙解禁」なんていうのは、かなりのまやかしで、ネット情報に関心のある若年層が下手に投票所に積極的に行くなんてことがないように、巧妙に仕組まれている。
なにしろ、一般の有権者がネット上で特定の候補に投票を呼びかけてはいけないし、候補者の tweet を retweet してもいかんというのである。つまり有権者は、候補者が発信する情報をおとなしく受けていればよく、それについてどうのこうの言ったら、選挙違反になりかねないぞと、脅かされているわけである。馬鹿馬鹿しい話である。
(注: 上記、山辺響さんのご指摘で、私の誤解とわかったので、取り消させていただく。ただ、有権者がウェブ上ではなく、メールで特定候補への投票を呼びかけるのは違反である。また、未成年者が retweet したら違反だそうだ)
有権者のインターネット上での選挙への関与が限定されている「ネット選挙」なんていうのは、「ネットに関心をもつ層に、選挙に関心なんかもたれたら困る」という意向の反映でしかない。
このままでは、現状で積極的に投票所に足を運んでいる 60代半ば以上の層が、よくよく年を取って体が動かなくなり、投票率が 20%とか 30%とかに落ち込んでしまう。そうなると、選挙はますます特定の組織に牛耳られるようになる。
そこまで行って、ようやくまともな選挙をしようという機運が生じたら、もうけものだ。遅すぎるかも知れないがそうでもならないと、気付かないのだろうから。
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コメント
>一般の有権者がネット上で特定の候補に投票を呼びかけてはいけないし、候補者の tweet を retweet してもいかんというのである。
これは誤解ではないでしょうか? ウェブサイトやSNSを使って一般の有権者が特定の候補への投票を呼びかけることは合法です。ただしメールは(転送も含めて)ダメなはず。
なお、未成年者はリツイート等も含めて全部ダメ、ですね。
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/img02/pdf/000225177.pdf
投稿: 山辺響 | 2013年7月23日 09:48
山辺響 さん:
ご指摘ありがとうございます。誤解していました。
記事本文も訂正させて頂きました。
投稿: tak | 2013年7月23日 10:29
私の場合、「誰某に投票しようよ!」と呼びかけるほど確信が持てなかったので、結局、「オレは○○と××で迷っている」「結局××に投票してきました」くらいの投稿しかしませんでした(^^;(Twitter/Facebook)
投稿: 山辺響 | 2013年7月23日 16:06
山辺響 さん:
今回の (あるいは今回に限らず) 選挙の悲劇は、まさにそこにありますね ^^;)
投稿: tak | 2013年7月24日 00:19