「ラインナップ」か「ラインアップ」か
忙しくて時間がないので、今日はどうでもいいような話である。それは「ラインナップ」か「ラインアップ」かという問題だ。昔は「ラインナップ」が圧倒的に多かったが、最近はどうも「ラインアップ」が増えつつあるような気がするのである。
野球関連のサイト「セットポジション」の「表記規準(セットポジション専用)」というページに、この問題についてかなり詳しく記されている。それによると、Google、Yahoo での検索結果は、「ラインナップ」が圧倒的多数だが、辞書の世界では「ラインアップ」という表記が圧倒的らしい。
手持ちの辞書(『大辞林』)でも、「ラインナップ」という項目はあるが、「ラインアップ」を参照せよということになっており、それではと「ラインアップ」を引くと、[ラインナップとも]とあり、「① 野球で、打順。② 陣容。顔ぶれ。③ 番組などの内容」 と説明されている。
そのほか、Q&A サイトでは、「どちらも正しい」みたいな回答が目立つ。
しかしこれ、英語の発音に忠実に表記するとすれば、どうみても「ラインナップ」である。リエゾンするのだから当然だ。あまりいい言葉じゃないが、"Son of a bitch" が「サナバビッチ」であり、「サンオブアビッチ」じゃないのと同様である。
一部には "Line up" をゆっくり発音すれば「ラインアップ」に近いという指摘もみられるが、大多数のネイティブ・スピーカーは、チョーゆっくり発音しても「ライィン~ナァップ」である。
しかも外来語として日本語に入ってきているのは、"line up" という動詞のイディオムではなく、複合名詞としての "lineup" だから、さらっと「ラインナップ」の方が自然だ。(ただ、本来のアクセントは前にあるのだが)
日本語として発音するにしても、「ラインアップ」よりは 「ラインナップ」の方が言いやすい。「因(いん)」と「縁(えん)」が結びついて 「因縁」という言葉となった時に「いんえん」ではなく「いんねん」と発音するようなものである。他にも「観音」「反応」など、いくつかある。
こんなように、漢語由来のリエゾンは公式に採用し、リエゾンしないのは間違いとしてしまうのに、英語由来は非公式扱いというのは、ちょっとなあという気がする。
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