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2013年7月 1日

「冷風扇」 って、一体どうなんだ?

もう何十年も前から毎年、今頃の季節になると、新聞・雑誌の通販宣伝ページやラジオショッピングなどで、「冷風扇」というものが紹介される。「打ち水などと同じ気化熱の原理を利用して、お手軽に冷たい風を送る」という触れ込みの、アレだ。

これ、私は前々からものすごく疑問に思っている。だって、気化熱を利用するというからには、水蒸気が発生する。水蒸気が発生したら、当然湿度が上がって蒸してくる。上がった湿度を逃がすためには、どんどん外気を取り入れなければならない。だったら、結局室内は涼しくなんかならない。

夏のよく晴れた日、湿度があまり高くないと、気温は 30度以上あっても室内ではそれほどの不快感はない。ところが日が暮れて、なまじ気温が下がり始めると、その分だけ湿度が上がり、むしろ日中よりも蒸し暑さが増す。そう、蒸し暑さの要因は、気温と湿度の合わせ技なのだ。だったら少々気温を下げても、湿度を上げてしまっては元も子もない。

実際のユーザーの意見はどうなのかとググってみると、「冷風除湿器」と混同してのコメントが目立った。念のためはっきり区別しておくが、ここでは世間の常識に従って、水に浸した布に風を当てて気化熱を奪うシステムのものを、「冷風扇」と呼び、コンプレッサーで除湿して、手前に冷風、背後に熱風を排出するものを「冷風除湿器」としておく。

冷風除湿器は、我が家でも大型の除湿器として、梅雨時などの洗濯物室内乾燥に重宝している。コンプレッサーを使っているだけに、確かに冷風も出せるが、いわば室外機との一体型のようなものだから、背後から出る熱風の方が強くて、洗面所のような狭い室内はサウナ状態となる。それだけに洗濯物はとてもよく乾くが、冷房にはならない。

ここで直接問題にしている、気化熱を奪うタイプの「冷風扇」の使用感を拾ってみると、「そんなに涼しくならない」とか、「湿度が上がって大変」などのほか、 「カビが生える」「すぐ壊れた」など、かなりネガティブなコメントが多い。まあ、そんなところだろう。

唯一、戸田覚氏が日経トレンディのページで、かなり好意的なコメントを書いておられる(参照)。しかしこれは、「エアコンを弱めに効かせて冷風扇を併用するといい」という、かなり特殊な条件下でのオススメだ。

はっきり言って、これではお話にならない。「冷風扇というものをどうしても使いたかったら、湿度を上げないために、エアコンと併用する必要があるよ」あるいは 「エアコンをギンギンに稼働させたら、空気が乾きすぎないように冷風扇と使うといいよ」と言ってるようなもので、この記事を読んで冷風扇を買ってみようなんて思う人は、よほどのもの好きだろう。

つまるところ、冷風扇自体はエアコンに比べればずいぶん安い値段で購入できるとはいえ、「安物買いの銭失い」になってしまいそうで、いくらお金がないという人でも、あまりオススメしたくないと思うのである。

 

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コメント

あたくしがむかーす、暗室の仕事をしてたとき、使ってますた。結構きんもちいかったデスよ。水を補給しなくちゃなりませんがネ。
「水が蒸発するときに気化熱を奪う」作用を利用してるんどすから、湿気は増えねえんじゃねぇっすかにぇ(どこの方言かにゃ?)。
あたくしもクーラーは好きくねぇんで、冷風扇、安かったら、買ってみようなかにゃ?

投稿: ルイ・フェルディナン・ゲスマリオ | 2013年7月 3日 23:35

ルイ・フェルディナン・ゲスマリオ さん:

そうですか。よかったですか。

ただ、水の状態で固定されていたものを水蒸気にして空気中に放出するんですから、湿度は上がりますね。

投稿: tak | 2013年7月 4日 16:11

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