日本の国会が「ダイエット」であるわけ
昨日の話題、「国会前」の道路標識の下の文字が、ローマ字の "Kokkai" から、英語の "The National Diet" に変ったことに間して、「英語が少しはできる人にさえちょっと荷が重いかも知れない」と書いた。
勝手な印象論だが、米国連邦議会のことは "Congress"、英国の国会は "Parliament" というと知っていても、自分の国の国会が「ダイエット」だなんて、知らない人の方が多いんじゃないかという気がする。
私自身も外国人と英語で話す時に、日本の国会について何かコメントする必要がある時、"The National Diet" なんて言わずに、"Japanese Parliament" と言っちゃうことの方が多い。頭の片隅で、「えぇと、何だっけ、『ダイエット』とか言ったよな」と、ちらっと思うのだが、使い分けが面倒なものだから、つい勢いで "Parliament" の方が口をついて出てしまう。
そして、日本の国会を "Japanese Parliament" と言ってしまっても、英語のネイティブ・スピーカーから、「それは違うよ」と指摘されたことは一度もない。大抵、問題なく通じてしまう。そんなこんなで、「何でまた、日本の国会は『ダイエット』なんだよ」と、つい最近まで思っていた。
とりあえず、フツーの(何をもって「フツー」とするかは、ここではあえて踏み込まない)国会は "parliament" で、ちょっと大がかりな連邦議会のことは "congress" というらしいという知識はあった。
"Parliament" の語源は、ラテン語由来の「話す」(フランス語では parle")から来ていて、「話し合いの場」というようなことらしい。"Congress" は、語源的には「ともに行く」というような意味合いで、要するに「集まり」のことである。それで、中国の国会みたいなものといえる「人民代表会議」のことは、"The National People's Congress" という。
じゃあ、「ダイエット」ってのは何なんだ? ということになる。検索してみたら、こんなようなことがわかった。
まず、お馴染みの方の「ダイエット」(食事での減量)に間して。古代ギリシア語の δίαιτα (diaita、「生活様式」「生き方」)が、ラテン語 diaeta)と古フランス語を経て、英語の "diet" となり、「(日常的に口にする)飲食物」や「食餌療法」を指すようになった。
そして、国会を意味する "diet" も、なんと語源的には同じで、「生活様式」「生き方」を意味する古代ギリシャ語を起源として、「日程」「日々の勤め」等を意味するラテン語 "dieta" になり、転じて「議会」を意味するようになったという。(参照)
へえ、同音異義語だと思っていたが、語源的には同じだったのか。これにはびっくりだ。
| 固定リンク
「言葉」カテゴリの記事
- 日本人が英語を使う目的は「伝達」より「自己満足」(2023.03.25)
- 「楽しい」の語源が「手伸し」ということ(2023.03.01)
- 世界の「よいしょ、どっこいしょ!」(2023.02.25)
- "The" を「ザ」と読むか、「ジ」と読むか(2023.02.24)
コメント