自殺報道について
世のマスコミは藤圭子がどうやら自殺したらしいという件でもちきりである。はっきり言って、騒ぎすぎである。いくら有名人でも、自殺に関する詳細を根掘り葉掘り調べて報道して、何になるというのだ。
WHO では自殺報道についてのガイドラインを策定しており、内閣府がそれをきちんと日本語訳して発表している(参照)。
このガイドラインの 3番目に「自殺の報道を目立つところに掲載したり、過剰に、そして繰り返し報道しない」というのがある。ほとんどのテレビ、スポーツ新聞は、この点でメチャクチャである。その他にも、自殺の手段や場所について、詳しい情報を伝えないということにもなっているが、実際には嫌になるほど伝えられている。
こうしたガイドラインは、いわゆる「後追い自殺」や「模倣自殺」を助長しないために作られている。とくに有名人が自殺すると、いつもそれに続く者が出てくるから、注意が必要だ。報道するなとも言えないから、ほんの片隅で、ちょこっと 10行ぐらい書く程度にとどめ、あとはそっとしておくべきだ。
藤圭子は享年 62歳ということで、私より 1つ上だが、ほとんど同世代だ。デビュー直後はかなり鮮烈な印象で、記憶に残る歌手の一人だが、だからといって、この状況であれこれもっともらしく書く気にもなれない。
娘の宇多田ヒカルがこの件に関して沈黙を守っているというのは、正しい選択である。世間の期待に添ったコメントを出すぐらいは簡単な作業だろうが、敢えてそれをしないということで表現される何かがある。
【追記】
いじめによる自殺に関しては、6年前に「禁断の復讐技」と題した記事の中で、"私は、この「禁断の技」が流行してしまうことを危惧する" と書いている。今や既に流行してしまっている気はするが、これについての報道は、かなり難しい問題だ。
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コメント
WHOが、ガイドラインを出していたことは、全く知りませんでした。
マスコミに言わせれば、国民の知る権利云々というところなんでしょうが、もはや知りたい情報には、別の手段でアクセスできる時代になったのですから、特にテレビラジオなどの押し付け媒体には、規制でもかけたほうがいいんじゃないかと思います。
それにしても、宇多田ヒカルは、まだ若いのに正しい対応してるなぁと、私もtakさんに同感です。
投稿: もりけん | 2013年8月24日 21:59
もりけん さん:
私も、「確かそんなようなのがあったよなあ」 と思ってググったら、あまりにも呆気なく検索できたので、こんなにも当たり前のことを、日本のマスコミはシカトしちゃってるのかと、呆れてしまっています。
投稿: tak | 2013年8月25日 20:28