「タメシガキ」 から透けて見えることがあるらしい
今日、車を運転しながら TBS ラジオの「安住紳一郎の日曜天国」という番組を聞いていたら、寺井広樹さんというゲストが登場された。「世界タメシガキ博覧会」というウェブサイトを運営しておられ、ご当人がおっしゃるには、他には確認できていないので、多分世界でただ一人の「タメシガキ・コレクター」なんだそうである。
「タメシガキ」というのは、筆記具売り場で、まさに試し書きされた紙で、前に世界放浪をしていた時にたまたま立ち寄ったベルギーの文具店で素敵な「タメシガキ」を発見し、魅せられてしまって以来、コレクションを始められたそうである。その最初の「作品」は、彼のサイトで見ることができる。なるほど、魅力的と言えば魅力的だ。
彼が言うには「タメシガキ」にもお国柄というものがあり、例えば中国のは後ろ向きなものが多いのだそうだ。深読みをすると、インターネットの書込みまで規制されているため、筆記具売り場のタメシガキ用の紙に、不平不満を書き連ねることで不満を発散しているのではないかという。
なるほど。もしかしたら「タメシガキ・ネットワーク」というものが構築されて、彼の国の民主化の有力メディアになれるかもしれない。
フランスやイタリアのタメシガキは、絵が描いてあったりして、お洒落なものが多いそうだ。米国は結構乱暴で、ヨーロッパのようなアート感覚はみられないという。インドは数式が多いらしい。
途上国は筆記具の品質があまりよくないので、書き味を確かめるというよりは、ちゃんと書けるかどうかという、最も基本的なことを確認するという意識が強いようだ。そのため一般に筆圧が高く、ケニアのタメシガキは強く書きすぎて紙が破れかけている。
世界共通なのは、ぐるぐる模様とハートマークが多いことだそうだ。また「お母さん大好き」 という言葉が多いが、日本ではそれは滅多に見られないという。これはなかなか興味深い指摘だ。
日本で特徴的なのは、「永」という字のタメシガキが多いことで、これは「永字八法」というぐらいのもので、漢字の筆法がすべて含まれているからだろう。この流れで「永六輔」と書いてしまう人も多く、寺井氏自身も、永六輔さん本人から「永六輔」と書かれたタメシガキをもらっているそうだ。しかし、それってほとんどサインじゃないかなあ。
永六輔さんに限らず、自分の名前を書く人も多いらしい。そういえば、前に筆記具で書く頻度が一番高いのは自分の名前だから、試し書きに最適というのをどこかで読んだことがある。ただこれは、納得すればいいのか、眉に唾をつければいいのか、迷ってしまうお話である。私は自分の名前を売り場に残す気にはなれない。
最近はなぜか「剛力彩芽」という試し書きが多いらしい。これって、つい試し書きしたくなる名前なのかしらん。いずれにしても、タメシガキは世の中のトレンドを反映するという。馬鹿にならないものである。
ニッチなものに注目するというのは、なかなか素敵なことである。
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