英語の "-er" と "-or" の違い
この年になるまで漠然と気になりながら、その漠然のままで何となくやり過ごしてきたことに、英語における "-er" と "-or" の違いというのがある。「~する人」とか「~するための道具」とかいう言葉を作るのに、接尾辞として "-er" と "-or" がある。この区別が、漠然とした印象なのである。
例えば、ごく単純な動詞だと、"getter", "cutter", "eater", "writer", "reader", "repeater", "opener", "roller", "printer" など、大抵は "-er" で行ける。ところが、 "director", "processor", "successor", "creator", "duplicator" などは "-or" だ。
一見すると、語幹があってそれに接頭辞がくっついてできたような 「ちょい複雑単語」 は "-or" なんじゃないかという気がするが、単純に見えても 「俳優」 は "actor" だし、"sensor" も "-or" である。さらに、接頭辞があっても "computer", "performer", "consumer". "developer", "employer", "extinguisher" などは "-er" である。
まったく一筋縄ではいかない。私としては、単純な動詞はほとんど "-er" だが、ちょっと長目の動詞でそれだと気持ち悪い感じがするのは "-or" だということでやってきて、それで大抵間に合っている。要するに、感覚の問題だと思っていた。
ところがどうやら、そんなものではないらしい。英語の語源的な見地からすると、ある程度きちんとした規則性というのがあるらしいのである。「教えて Goo」 のサイトには 「-er と or の違い」 という Q&A ページがあって、この中になかなか専門的に論じた答えが載っている。
このページに寄せられた回答によると、ざっくりと言ってしまえば、英語の最も古い語彙を形成しているゲルマン語から入った動詞は、大抵 "-er" なんだそうだ。なるほど、単純な動詞に "-er" 型が多いことからも、それは頷ける。
そして、ラテン語起源で、フランス語、ノルマン語を経て英語に入ってきた語彙は "-or" 型が多いが、一部はフランス語で変形を受けて "-er" になっているものもあるという。この辺りがなかなか複雑だ。
一方、「鉄緑会の英語の森」というサイトには実戦的な覚え方が載っている(参照)。その一つは、「-ate で終わる動詞の名詞形は -ator」 というものだ。なるほど、上述の "creator", "duplicator" の他、"indicator", "dictator", "educator", "illustrator", "translator" など、ことごとく "-or" 型だ。
ただ、その他にも既に述べた "director", "processor", "successor" など、例外はいくらでもあるから、このあたりはやっぱり 「感覚」 に頼るほかない。"Processer" なんて書くとやっぱり気持ち悪くてムズムズするから、感覚というのはとりとめがないようでいて、なかなか頼りになるのである。
ただ、これは英語にたっぷりと接して、初めて身に付くところではあるが。
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コメント
adviserとadvisorみたいに両方とも可という言葉もあります。若干意味が違うという説もあるみたいですが。私の前職で使っていたスタイルブックでは-erにすることになってました。
投稿: きっしー | 2013年9月25日 09:51
きっしー さん:
大抵の場合は adviser でいってるんじゃないでしょうかね。
微妙に意味が違うということに関しては、私は未だに理解できていません ^^;)
投稿: tak | 2013年9月25日 11:41
私は個人的にはadvisorでないと気持ち悪いんですが、これは多分アメリカに住んでるからのようです。
ここまで来ると「もう勝手にして」って感じですが:
http://en.wiktionary.org/wiki/advisor
投稿: めぐみ | 2013年9月28日 20:53
私もめぐみさん同様、advisorでないと気持ち悪いです。大学に所属しているため、「アドバイスする人」より「指導教員」に馴染みがあるせいでもあります。
投稿: emi | 2013年9月29日 02:28
めぐみ さん:
そう言われると、なんだか急に advisor でないと気持ち悪くなる体質に変化してしまいそうです ^^;)
投稿: tak | 2013年9月29日 22:35
emi さん:
Adviser と advisor の微妙な違いって、そういうことですか。
なるほど。
そういえば、形容詞は advisory ですね。
ああ、今さらながらのように、どんどん advisor でないと気持ち悪くなる体質に傾きそうです。
しかし、私の Google Chrome も Firefox も、advisor と入力すると、下に赤い波線が出てきて、いかにも間違いみたいに警告してきます ^^;)
(Word では 両方 OK ですが)
投稿: tak | 2013年9月29日 22:43