地球上の都市が 「新たな気候」 に移る日
Wired に、"東京は2040年代:「極端な猛暑が日常になる日」の世界地図" という記事がある。現在の温暖化がこのまま続いた場合、世界の各都市において、「新たな気候」(過去数年の極端な猛暑が日常になる気候)が実感されるようになる時期を、ハワイ大学の研究者グループが推定したものだ。
それによると、「新たな気候」が最初に実感されるようになるのは熱帯地域で、インドネシア西パプア州の州都マノクワリでは、「2020年から、『通常』の気温と降雨から外れ始めたことが実感されるようになる」という。さらに 2029年までにインドネシアの首都ジャカルタ、ナイジェリアのラゴスで同様の現象に突入する。
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Image:Mora et al, University of Hawaii |
その後、こうした現象は赤道を中心に南北に広がり、ニューヨーク、サンフランシスコ、ローマ、東京、および北京などの中緯度地帯が「新たな気候」に移るのは 2040年代で、東京は 2041年だという。この年、私は 79歳になる。それまで生きながらえるとしても、ちっとも不思議じゃないのだから、他人事じゃない。
しかも、「新たな気候」になるのは、「ある日突然」というわけではないだろうから、これから正真正銘のじじいになるまで、多少の行きつ戻りつはあっても、「近頃、死にそうに暑いなあ」と言いながら生きることになるのだろう。
恐ろしいことに、温暖化ガスの排出が多少削減されたとしても、今世紀の終わりまでには、各都市が「異なる気候」に移行するという。ただ、変化適応に要する猶予期間が、平均で 20年間多く与えられるのだという。覚悟しておいた方がいい。
「新たな気候」を避けるには、温暖化ガスの「排出」を「少しばかり」削減するのではなく、大気中に存在する温暖化ガスの「総量」の減少に転じるために、CO2 排出をゼロ以下にしなければならない。「そんなの無理」と言って手をこまねいていては、状況は進むばかりだ。
実は、決して「無理」ではなく、技術的には可能な段階に来ている。あとはライフスタイルを変えていきつつ、新技術を本気で採用し、普及させていく覚悟があるかどうかである。その覚悟がなければ報いとして人類は滅びるか、少なくとも世界の総人口が激減して、今の文明は維持できなくなるという、非常に単純なストーリーである。
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コメント
ワタクシの好きな日本の小説家のかたが
「もっとも根本的な倫理は、次の世代の生きる環境を壊さないことだ」
と申されていました。
コレに反するような文明は、滅びて当然デショウネ!
投稿: ルイ・フェルディナン・ゲスマリオ | 2013年10月22日 13:48
ルイ・フェルディナン・ゲスマリオ さん:
「世代間倫理」というやつですね。
これについては、ごちゃごちゃ言わずに、おっしゃる通り、「もっとも根本的な倫理は、次の世代の生きる環境を壊さないことだ」 ということで進めるしかないと思います。
投稿: tak | 2013年10月22日 15:06