黄海にまで「西海」表示を求め始めた韓国
昨年春の "太平洋に「東海」と併記せよ" という記事で、「日本海の呼称を『東海』に変えろ」と主張している韓国について、"「黄海は『西海』だ」と主張しないというのは、なかなかおもしろいメンタリティである。案外そのうち言い出すかもしれないが" と書いたが、なんと、ジョークで書いたつもりのことが、本当になってしまったようなのである
Record China の "韓国、中国にも日本海の表記変更を求める=黄海にまで「西海」の表記を要求 ― 中国メディア" という記事に、次のようにある。
韓国紙・仁川日報の 10月 21日付の記事によると、WHO(世界保健機関)発行の「2012年版世界マラリアレポート」で「韓国マラリア分布図」の地図に「Sea of Japan」との表記があることに対して韓国の与党議員が不快感を示し、さらに「朝鮮半島西側の黄海は『China Sea』(* ママ)から『西海』 に変更するべきだ」と主張している。
いやはや、ついに言い出してしまったようなのだね。もう向こう見ずというか、恐いものなしというか、すごい勢いだ。
いうまでもなく、自国の東にある海を「東海」、西にある海を「西海」と呼ぶのはローカル・ルールであって、国際的呼称としてはそぐわない。それを言いだしたら、「世界の中心は我が国である」と言うようなものである。そして、私の昨年春の記事のように、「太平洋に『東海』と併記しろ」という無茶だって通ることになる。
何しろ、我が国でも江戸の昔から太平洋に沿った街道を「東海道」と呼び、関東から関西に続く海沿いを「東海地方」と呼び習わしてきたという、れっきとした実績がある。それに、九州を「西海道」と呼んできたのだから、「東シナ海は『西海』だ」 とだって言える。それをしないのは、国際的な慎みというものである。
ここまで書いて、最近の韓国人は漢字を理解しないので、「동해(トンヘ = 「東海」 のハングル読み)」というのが、それほどエゴイスティックな呼称だということに気づいていないのかもしれないと思い当たった。ただ仮にそうだとしても、常識に欠けるのは言うまでもない。
最近の韓国の無茶なもの言いには、正直なところ、付き合いきれない気がしている。
【付記】
本文中の Record China 記事の日本語訳で、「黄海」が "China Sea" となっているが、引用なのでそのまま表記した。黄海は "the Yellow Sea" のはずで、普通は "the China Sea" と言ったら、東シナ海 (the East China Sea) と南シナ海 (the East China Sea) を指す。
ついでに書くが、「東シナ海」と「南シナ海」の呼称は問題ありとして、それぞれ 「東中国海」「南中国海」と言うべきだと主張する人がいるが、英語の呼称を見れば、そんな議論はナンセンス(「チャイナ = シナ」 じゃん!)と気付くはず。
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コメント
変にグローバル化が進んでしまった反動で、穏当なナショナリズムの発揮のしかたが見失われてしまっているような印象ですね……>韓国 他山の石、かなぁ。
※ ほとんど関係のないんですが、海の名前を見ていて、ふと……the Pacific War(太平洋戦争)って、凄い矛盾した表現だなぁ(笑)
投稿: 山辺響 | 2013年10月30日 17:52
山辺響 さん:
>the Pacific War(太平洋戦争)って、凄い矛盾した表現だなぁ(笑)
そうですね。私はこれまで、英語の文脈では World War II としか表現したことがなかったので、実は今、初めて気付きました。
「だから、あれは 『大東亜戦争』 なんだって!」 と言いたい人もいるでしょうが、これに対する英語の呼称ってのは、politically correctness から言っても、公式にはないんでしょうね。
投稿: tak | 2013年10月30日 21:01