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2013年11月10日

再び地方分権について

昨年 6月に「バイオミミクリーの可能性」という記事を書き、その中で「昆虫脳」「ファーメンテーション・セオリー」に学ぶということを強調しておいた。

昆虫脳については、次のように書いている。

昆虫の脳は、人間の脳の 100万分の 1 程度の質量しかないのに、立派に機能しているのは、頭の中にあるのは半分程度で、残り半分は「神経脳」として、体中に分散しているからなのだそうだ。これによって、時には人間の脳よりも優秀な機能を発揮したりできる。

昆虫脳を人間社会に応用すれば、コンベンショナルな中央集権制を越える機能分散的なシステムを想定できる。事実、アメリカのカトリーナ台風や日本の東日本大震災などの危機的状況においては、中央政府の機能はあまり役に立たず、現場の情報をネットワークで結んだ分散的な NPO の働きが、効果的に機能した。

「ファーメンテーション・セオリー」というのは、酵母菌の発酵 (fermentation)にヒントを得たもので、「酵母菌はどんなに増殖しても、余計なものは生み出さない」ことに注目している。人間社会では組織が肥大化すればするほど、総務部とか管理部とか人事部とかいう、直接業務に携わらない間接部門が増える。

過度の中央集権システムにおいては、間接部門に携わる人間は、自分の仕事を失わないために、そして自分の昇進ポストを増やすために、わざわざ必要もない間接部門を増設したがる。こうした愚はそろそろ卒業したいものだが、力を持ってしまった人間の過度の欲望の問題なので、なかなか難しい。

私は 7年前の「日本の改革が進まないわけ」という記事で、その理由は、「日本は、自由主義を標榜する先進国で、人口が 1億人をはるかに越えていながら、地方分権が進んでいないという点では、世界でたった一つのケース」だからと指摘した。要するに、小回りが利かないのである。

大まかな方向性さえ示されていれば、あとは個々人、あるいは個々の組織が、現場目線で自分のなすべきことをさっさとやるのが、仕事を進める上で最も効果的なのである。現場から遠く離れた中央にお伺いを立てなければ何もできないというシステムでは、どうしようもないのだ。

 

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