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2013年11月30日

「毎日更新」を続けるための「新境地」とは

江草乗の言いたい放題」という、ちょっと過激な意見が売り物の社会派 Web 日記がある。ブログというわけじゃなくて、一時期かなりはやった「エンピツ」という日記サービスで運営されており、約 11年にわたって毎日更新されてきた。私は来月に「毎日更新 10年」となる予定だから、上には上があるものである。

この web 日記の 11月 26日付に、「言いたい放題日記終了のお知らせ」という記事が載った。びっくりである。この記事の中に、こんなことが書いてある。

オレが最初にWEB上に発表したテキストは「100万回生きたねこ・試論」である。そのテキストを書いたのはもう20年以上も前のことである。(中略) その頃のオレには書きたいことはいっぱいあった。オレはそのほとばしる執筆意欲をただパソコン上にぶつければよかったのである。

それらのテキストを読み返して思うのは、今よりもずっと面白いということである。オレはもう峠をすぎてへろへろ球しか投げられない暗黒時代の阪神の中継ぎ投手のようになってしまったのである。

(中略)

とにかく今日、オレはこの日記の「毎日更新」というスタイルを捨てることを宣言する。タイトルには「言いたい放題日記終了」と書いたが、本当に辞めるわけではない。オレが宣言することは「毎日更新」というスタイルをやめることであり、これが「日記」ではなくなるということなのだ。

これ、他人事ではない。この気持ち、私にも実によくわかる。私の「知のヴァーリトゥード」というサイトは ほぼ 12年近く前にスタートした。当時は書きたいことは山ほどあった。まさにテキストがほとばしり出るぐらいのものだったから、どんどん書けた。

5~6年前の自分の記事を読み返して、自分で感動してしまうことだってある。しかし今となっては、そんなようなテキストが 「ほとばしり出る」 なんてことは、めっきり減ってしまった。以前はブログを書くまでは眠れなかったが、今は「眠いのに、ようやく絞り出す」なんてこともある。

とりあえず、今のところは「毎日更新」というスタイルは継続している。生きてフツーに暮らしている限り、ネタが枯れてしまうなんていうことはない。しかし正直言うと、「10年連続毎日更新」を達成したら、それを花道にすっぱりとブログを止めてしまおうかと思ったこともあった。

今はまた思い直して、せっかくだから更新は続けようと思っているが、この 「せっかくだから」 というのが、自分でも気に入らない。「せっかくだから」とか「行きがかかり上」とかというような安っぽい理由で更新を続けても、テキストの質は落ちてしまうだろう。

現に最近、何を書いても「同じことの繰り返し」になっているという気はする。とはいえ、これはそんなに悪いことでもない。

コラムの達人といわれた故・山本夏彦は、「寄せては返す波の音」 と評されたほど同じことを何度も繰り返し書いた。浪曲の名人・広沢虎三だって、晩年は『森の石松』しかやらなかったが、それで大喜びされた。大学教授の講義だって、大御所になればなるほど、間にはさむジョークまで毎年同じになったりする。

「何を書いても同じ」なのは、基本姿勢が「ブレない」からだと、開き直ることだってできる。しかし、ブレる一歩手前までの新機軸を打ち出すことのスリルってものもあって、私はそんなのも大好きだったはずなのだ。それが近頃、ちょっと低調になってしまっていることを自覚している。

今後の選択肢は 2つ。新たな境地を開拓するか、枯れた境地を深めるかのどちらかだ。いや待てよ、もしかしてこれら 2つをアウフヘーベンしちゃって、「チョー枯れた境地」というものに新たな発見を求めるという道があるかもしれない。

ほほう、なるほど。それ、案外いいかもね。

 

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コメント

「江草乗の言いたい放題」、毎日拝見していて、
「終了のお知らせ」を見たとき、大変残念に思いました。

で、即座に、takさんは大丈夫かなと心配しました。
「新たな境地の開拓」、「枯れた境地を深める」、「チョー枯れた境地」の
いずれでもいいですから、どうか続けてくださいね。

takさんの感性、こだわりを読む毎日の楽しみが
なくなってしまいます。切にお願いします!

投稿: さくら | 2013年11月30日 17:51

さくら さん:

そこまで言って頂くと、止めるわけにいきませんね (^o^)

本当にありがとうございます。
何らかの新境地に向かわせていただきます。

投稿: tak | 2013年11月30日 18:21

こんにちは。コメント遅くなってすみません。
tak さん、これで低調だなんて言われても、
私はこれで毎日感動や驚きをいただいていますから
全然納得できませんぜw。
上岡龍太郎のようにスッパリ辞めるのもそれはそれで
カッコイイですが、一ファンとしては、せめて
あの世からお迎えがくるまでは続けていただきたいです。
(できればあの世からも書いてほしい)
以上、身勝手なお願いでした。ではでは。

投稿: るー | 2013年12月 2日 12:58

るー さん:

身に余るコメント、ありがとうございます。

そこまで言われると、本当にやめられませんね ^^;)

投稿: tak | 2013年12月 3日 00:58

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