ナイジェリア人から預かった荷物に覚醒剤が入ってたって?
愛知県稲沢市というところの市議会議員が、中国で覚醒剤所持の疑いで逮捕されたという(参照)。その後のニュースで、この桜木琢磨という市議は、覚醒剤の入ったスーツケースをナイジェリア人から預かったと言っているらしいということが報じられた(参照)。
桜木市議は貿易会社を経営しており、仕事上の取引で会ったナイジェリア人から荷物(その後の報道によると、靴のサンプルらしい)を受け取ったが、まさか覚醒剤が入っているとは知らなかったと主張しているようだ。
この人、ずいぶん呑気だなあと思う。中国では麻薬所持は重罪なので、死刑になってしまうことをマジに心配しなければならないところだ。他人から預かった荷物の中にたまたま覚醒剤が入っていたなんていう話を、中国当局が信用するわけがない。
ここまで考えてふと思い出したのが、30年前の経験である。私の上司 2人が出張先のニューヨークで、「ピック・ポケット」(スリ)の被害に遭いかかったことがあるのだ。
朝、ニューヨークの町を散歩していてふと振り返ると、上司 2人が何やら怪しい 2人組に引っ掛かっている。どうしたのかと見ていると、2人のジャケットの背中には、チョコレート・アイスクリームがべっとりとなすりつけられているじゃないか。
怪しい 2人組は、言葉巧みに「おやまあ、ひどいことになっている。お貸しなさい。私がハンカチで拭ってあげましょう」みたいなことを言っている。で、信じられないことに、上司 2人は言われるままにジャケットを脱いで渡そうとしているのである。おいおい、正気かよ、まったく!
慌てて駆け寄って、「止めろ! それはお前たちがやったんだろう!!」と怒鳴ると(もちろん、英語でだよ)、そいつらは脱兎の如く逃げ去った。上そして着の内ポケットの財布だけは、危ういところで取られずに済んだ。
出張前に「ニューヨークは物騒な街だから、決して怪しいヤツの口車には乗らないようにと、あれだけ口を酸っぱくしてレクチャーしておいたのに、2人の上司、全然わかっていない。
「人を見たら泥棒と思え」なんていうのは、とても悲しいお話ではあるが、世知辛い世の中で身を守るには必要なことだ。善人が圧倒的に多いありがたい国に暮らして、その中にどっぷりと浸かっていると、悪いヤツからは 「カモ」 にしか見えなかったりするのである。
【2022年 6月 7日 追記】
2019年 11月 8日付 産経新聞によると、この元市議は無期懲役刑となったようだ(参照)。中国では麻薬所持は死刑になるのが原則だが、彼はこの時点で 76歳で、死刑になる最高齢の 75歳を上回っていたため、無期懲役となったという。
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コメント
この市議さん、きっと、政府間の政治的問題に利用されちゃうんじゃないかなあ、と思ったり思わなかったり…(笑)
投稿: もりけん | 2013年11月16日 23:57
もりけん さん:
それはあるかも知れませんね。
人質に取られてるようなものですから。
投稿: tak | 2013年11月17日 01:27
おっしゃる通り
我々商社の人間の中では
ナイジェリア人は、最悪
というのは常識です
そのナイジェリア人から
日本に持ち帰って○○という人物に手渡してくれ
なんてことを言われて
ホイホイと日本に持ち帰るなんて
貿易会社を経営している人間が
やるとは、普通、とても思えない
そんな商品サンプル
普通に簡単に貨物で日本に送るはずです
サンプルは、靴だったというけれど
そんなものに、どれだけ商品価値があるか?
日本で販売できるような品質のものか?
自分が持ち帰る意味があるか?
そういう判断もしないはずはありません
スーツケースにちょっと入れただけという数量で
どれだけのスケールのビジネスができるのか?
判断力皆無、または、知っていて運び屋になった
そうとしか、思えません
そういう運び屋にされて
死刑宣告を受けている人間が
東南アジアでは非常に多い
それも、知らないはずがない
ニュースで見ましたが
中国でナイジェリア人に頼まれて?
麻薬の運び人になった(された?)例が
少なくとも他に2件あるそうです
この市議
自分の貿易会社の業績が悪く
一発を狙ってギャンブルをしたのではないでしょうか?
投稿: alex99 | 2013年11月19日 09:17
alex さん:
お久しぶりです。
このケースはどうみても、
・ 貿易業務をする人間としては無能もいいとこ
・ リスクを承知で運び屋になろうとした
のどちらかとしか思えませんが、
精一杯好意的(?)にみて
「無能もいいとこ」 なんでしょうね。
投稿: tak | 2013年11月19日 13:50