大御心というもの
山本太郎氏の園遊会での「直訴」事件に関しては、私は静観を決め込んできた。当の天皇陛下御自身が受け取った手紙をすぐに侍従に手渡され、その後、公式的には何の反応も示されないのだから、我々が無闇に騒ぎ立ててどうする。
こうした問題に関しては、千の処分よりも、山本氏自身の自発的で真摯な反省の方が意味がある。彼は天皇の存在を軽んじたわけではなく、むしろかなり尊敬していることが窺えるので、後は浅はかな了見違いの行動についてきちんと自己批判すればいいと、私は思っていたのである。
ところが、世の中には過剰な反応を示す人がいて、山本氏には刃物入りの郵便が送られ、それについて鴻池祥肇という議員が、「切腹用の刀が送られたそうだ」「私は近くに寄って、すぱっといくから。間接的な殺人はしない」なんて発言したらしい。フツーに考えれば、こっちの方がずっと穏やかじゃない。
こうした空気に対し、宮内庁は「天皇陛下がかなり心配されている」と発表した。これこそ「大御心」である。我々は天皇陛下の深い慈愛のタイムリーな表明を、ありがたく受け取るべきである。
平成 16年秋の園遊会で、将棋の故・米長邦雄氏が、天皇陛下に「日本中の学校に国旗を上げさせ、国歌を斉唱させるのが私の仕事」というようなことを言うと、天皇陛下は「強制にならないように」と諭された。米長氏は「ありがたいお言葉」とかしこまった。
我らの天皇陛下はファナティシズムを好まれないのだ。強制による崇拝を受けたところで、喜ばれるはずがないではないか。それを知った私の天皇敬愛の念は、逆にますます強まったのである。
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