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2013年11月 2日

シェイクスピアの『十二夜』の意味

実は大変な思い違いをしていたことに、還暦過ぎて初めて気が付いた。シェイクスピアの『十二夜』("Twelfth Night, or What You Will")という芝居を見たのは確か 20歳の頃で、それ以前に戯曲を読んではいたはずだから、42~3年ぐらいずっと知らずにいたことになる。

このタイトル、「普通は 十五夜とか十三夜とかいうけど、十二夜なんてあまり言わないよなあ」と、ほのかな疑問を感じてはいても、結局なんのことなく月齢のことだと思っていたのである。

いやはや、よく考えれば、月齢のはずがないではないか。英国人が太陰暦ベースのタイトルを採用するなんて、不自然ではないか。これが「あり」だったら、「十五夜」というタイトルの文芸作品ががほかにいくつもなければおかしいではないか。ちょっと考えれば気付いていたはずなのに、なんで 40年以上もほったらかしておいたのだろう。

昨日ふと思いついて調べたら、Wikipedia に "「十二夜」とは、12月 25日から 12日目、一連のクリスマス祝いの最終日にあたる 1月 6日の顕現日の夜のこと" と、あっけらかんと書いてある(参照)。なんだ、そうだったのか、お月様の形とは別の話だったのか。

そしてその「顕現日」というのを調べると、「公現祭」とも言われ、東方教会と正教会ではイエス・キリストの洗礼を記念する行事だが、西方教会では主の洗礼の意味が失われ、幼子イエスへの東方の三博士の訪問と礼拝を記念する意味が大きくなっているという(参照)。

そんなこととはちっとも知らなかった。しかし言い訳に聞こえるかもしれないが、Wikipedia の「十二夜」の項にもあるように、「劇中に十二夜の行事に関わるような台詞はない」のだ。つまり、劇中では十二夜そのものについては、全然触れられていないのである。

これでは「十二夜って、どうやら月齢のことじゃないんだな」と推量するチャンスがないではないか。そもそも原題は "Twelfth Night, or What You Wil" (十二夜、あるいはあなた次第)という、無茶苦茶ユルいものなのだから、日本人が月齢のことだと勘違いしても、それほど責められなくてもいいだろう。

ともあれ、『十二夜』 の本当の意味も知らずにあの世に行くことが避けられたのだから、とりあえずはよしとしておこう。

 

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