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2013年11月 9日

薬は「対面販売なら安全」なんて、誰が信じる?

一般用医薬品のネット販売に関して、「医療用医薬品から一般用医療品に転用した医薬品 23品目については、最長 3年間は対面販売のみ」ということになりそうだ。これに対して、楽天などのネット業界は猛反発している。

楽天の猛反発に対するさらなるカウンターとして、甘利経済財政・再生相は 8日の記者会見で、「政府は専門家にどのようにリスクを管理し、(ネット販売への)手順を踏んでいくか検討してもらった。回答を無視することの方が説明が付かない」と答えた。要するに「専門家が言ってるんだから、文句あるか」という、子供じみた反論である。

しかし一般消費者の立場からすると、大臣のおっしゃる「専門家」というのは「医薬品とその流通の専門家」が含まれてはいても、恐縮ながら日常の買い物のことは、あまりよくわかっていらっしゃらないのではないかという気がする。何しろエラい人たちばっかりだからね。

この人たちって、近所のドラッグストアで、二日酔いに効く胃薬とか葛根湯とかを、ティッシュペーパーやカップラーメンと抱き合わせで買い物することなんて、ないんじゃあるまいか。どうも、「対面販売」を買いかぶっているとしか思われないのである。

私の自宅の近所に、かなり広く(多分全国ベース)チェーン展開しているドラッグストアがあり、この辺りの人は、薬ばかりでなくいろいろな日用品までそこで買い物している。それで周囲の薬局は、医者の隣の処方箋専門みたいな所を除いて、みな潰れてしまった。

このドラッグストアで薬の買い物をする時は、スーパーマーケットと同様に、自分で棚から選んだ薬をバスケットに放り込む。バスケットの中では目薬や風邪薬が、ティッシュペーパーやカップラーメンばかりでなく、出汁の素、飴ちゃん、乾電池、白髪染め、ババシャツなどと一緒くたになっている。

そんなわけで、ドラッグストアで薬を買っても「対面販売」という気はしない。しかも、レジ係はパートのおばちゃんと、いかにも高校生という雰囲気のバイトだ。薬剤師もいないことはないみたいだが、いつも奥に引っ込んでいてあまり顔を見ないから、相談しようにもしにくい。どうせ誰も相談なんてしないけど。

それからもう一つ、「最長 3年間」という期間の根拠はどういうことなのか。3年もあれば大抵、安全確認がとれるということのようだが、その 「安全確認」ってどういうことなのか。最初の半年は問題がなかったが、2年 11ヶ月目で突然のように問題が露見するなんてことがあるのか。そうだとしたら、もし 3年 1ヶ月目で問題が露見したらどうするのか。

これは「薬品」ではないが、カネボウの美白化粧品のように、対面販売でも被害が発生するなんてことは、どう説明するのか。同じ商品でも、ネット販売だと被害発生率が高くなるとでもいうのか。

一方で、件の 23品目に含まれる「ロキソニン S」や「アレグラ FX」、「コンタック鼻炎 Z」などが手放せず、それらをリアル店舗で買う時でも、「店から『ちょっと一言、注意』なんてあった試しがないぞ!」 と憤っている人もいる。

上述の 「アレグラ FX」 なんて、私が 3日の記事で触れた日経トレンディの「2013年ヒット商品ベスト 30」の 17位にランクインしている。既にそれほど売れていて、リアル店舗で買う時に「ちょっと一言」も何もないなら、ネット上できちんと警告表示して売る方が、ずっとマシだという気もするのだけどね。

私自身は個人的にはどうでもいい問題だが、近所に薬局がない山奥や離島に住んでいて、しかも杉花粉症の季節になると「アレグラ FX」が手放せないというような人が、ちょっと不憫である。

 

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コメント

アレグラなんて片落ち特許切れ医薬品を詐欺値でありがたく買う消費者の気が知れない。
薬剤師に高いフィーを払って手厚くドラッグストアで働いていただけるようにすればスイッチOTCが増えるよ。
そんなんだから足元見られてゴミなOTC医薬品しか日本には売ってないんだよ。

投稿: 薬剤師 | 2013年11月 9日 23:18

薬剤師 さん:

あんた何物?

投稿: tak | 2013年11月10日 23:57

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