ちょっと旧聞だが、台東区浅草の、水戸街道(国道 6号線)の吾妻橋西詰交差点の標識が、改善されていたことを、今日たまたま知った。一昨年 12月 21日付の関東地方整備局東京国道事務所による記者発表資料で「国道6号吾妻橋交差点道路標識を改善します」とある。
この交差点、日本橋方向から来ると、ちゃんと右折レーンがある。しかし、バスは終日右折できるが、一般車は午前 8時から午後 8時まで、つまり世の中が活発に動いている時間帯は、右折禁止になっている。ところがそれを示す標識がわかりにくいうえに認識しづらい。
その上、いつも警官が待ち伏せしているため、右折違反の摘発が不自然なまでに多かった。これでは「違反を誘発するための交差点」と言われてもしかたがない。
これに関して、東京新聞が一昨年 9月 25日付で批判的な記事を載せたらしい。(元記事は削除済みだが、関連ブログ記事を参照)。そんなこともあって、冒頭に紹介した「改善します」という記者発表につながったのだろう。
というわけで標識はやや改善されたものの、やはりわかりにくいことに変わりない。実は私も昨年、この交差点でやってしまったのである。
ある日、都心方向から 6号線を北上し、浅草にさしかかると、吾妻橋西詰交差点で前の車が右折した。路面を見れば確かにそこは右折レーンである。本来はちょっと先の言問橋西詰で右折するつもりだったのだが、つられて右折すると、吾妻橋手前で待ち伏せしていた警官に、前の車もろともつかまった。
「前の車につられて、つい意に反して曲がった」とはいえ、標識をよくみれば確かに 午前 8時から午後 8時までは右折禁止となっている。これでは、非はこちらにあると認めるほかない。「こんな標識じゃ、わかりにくくてたまらない」と言いたいのは山々だけど。
橋のたもとの「浅草警察署花川戸交番」に連れて行かれ、反則切符を切られるのを覚悟していたら、「始末書」を書けば許すという。新聞で問題になった後なので、めったやたらには反則切符を切らなくなっていたようだ。
せまい交番の中は始末書を書く人間で一杯だ。これこそが、ちょっとやそっと標識を改善したところで、わかりやすくなんかなっていないという証拠である。脳みそが筋肉でできているような感じの、やたら横柄な警官の態度にむっとしながらも、「始末書」の一番下の「署名」欄に自分の名前を署名した。
するとその警官が、「そんな字は読めない。もっとわかりやすい字で書け」と言うのである。
私の署名は多少「行書」っぽい続け字ではあるが、決して「読めない」というほどの「草書」じゃない。フツーの日本人なら大抵読める。ましてやその始末書には私の運転免許証のコピーが添付してあり、上の欄には、その警官が自分で私の住所氏名を手書きで書き写している。
つまり、既にわかっている名前の、「いつも使っている書体での署名」なんだから、日本語の不自由な警官の「読める、読めない」は関係ない。
「えっ? でも、私の署名はずっと前から、いつもこれなんですけど」私はできるだけ穏やかに言った。
クレジットカードでも、契約書でも、お役所の公的な会議の議事録署名人になる時でも、いつもこの同じ署名で通しているのだから、文句を言われる筋合いはない。むしろ、その始末書は確かに私が書いたという証明として、必要なのは私のいつもの署名のはずである。
ところがその警官は、「そんな字じゃダメなんだよ。ちゃんと丁寧に書けよ」と言う。
「署名は署名だから、どんなに丁寧に書いても同じですよ」
「なんだ、その態度は。ちゃんと読める字で書けというんだよ」
「でも、字体を変えたら、それは『私の署名』じゃなくなりますよ」
ずいぶん理を尽くして丁寧に言ったつもりなのだが、なんと彼は、「反省がないようだな。何なら反則切符を切るか?」と言いだした。浅草警察署花川戸交番のこの警官、どうやら横暴とか理不尽とかいうよりも、気の毒なことに頭が悪いのである。それならそれで、こちらも対応モードを切り替えるしかない。
私は彼の目の前で、一度書いた始末書を細かくビリビリに破りながら、慇懃無礼なまでの丁寧さで言った。「それでは、深く反省して、新たに書き直させていただきます」
その警官は、新たな始末書の上の欄に、再び下手くそな手書きで私の住所氏名を書き写しながら、「二度手間じゃないか、まったく」とブツブツ言っている。おあいにくだが、それはこっちのセリフである。
2枚目の始末書の「署名」欄に、私はことさらゆっくりと丁寧に、定規を当てたような直線と直角の組み合わせだけで、自分の名前を書いた。そんな書き方をしたのは生まれて初めてである。字というよりは、機械的な「記号」にしかみえず、本来ならそんなおちゃらけた「署名」はあり得ないが、なんとそれで OK が出た。こっちの方が信じられんわ。
形式的に取られた拇印なんか、朱肉をべっとりつけたので、ただ赤いだけで指紋が判別できないし、これならもし後で何か問題が生じても、「それは私の署名じゃない。警察のでっち上げだ」と主張できそうだから、「ま、いいか」と思うことにした。この警官みたいなのが容疑者の供述調書とかに関わっていたら、裁判で大変なことになるだろう。
そういえば、クレジットカードで買い物をして署名した時に、"店員に「これでは読めないので、ちゃんと読める字でお願いします」と言われ、目が点になるほど驚いたことがある" という記事を、5年前に書いたことがあるのを思い出したよ (参照)。
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