北朝鮮の最も効果的なサバイバル
北朝鮮は 10月下旬に拘束した米国人男性を、国外退去処分にしたと報じた。この米国人男性はメリル・ニューマンさんという名前で、年齢は 85歳。朝鮮戦争に従軍して、北朝鮮に敵対行為を働いたのが拘束の理由ということらしい。
それにしても、ニューマンさんという人、今回の観光旅行の目的は「かつて従軍した戦地への再訪」だったというのだが、北朝鮮という国は、85歳にもなって観光旅行で訪れるようなところじゃないと思うがなあ。物好きにもほどがある。
北朝鮮も北朝鮮で、60年も前の従軍行為を理由に一般人を拘束するなんて、非常識にもほどがある。こんな非常識を平気でするような国なのだから、わざわざ観光旅行に行くなんていうのは気が知れないと思うのだよ。
今回の国外退去はニューマンさんの年齢を考慮した上での「人道的見地」からのものというので、もしもっと若かったら、いつまで拘束されたか知れたものではない。もっとも、こんな年齢だからこそ、朝鮮戦争に従軍していたわけなのだが。
今回の拘束は完全に「米国に対する嫌がらせ」としか思えないが、こんなチマチマした嫌がらせで、ますます米国との関係が悪くなるのは考え物と思ったのだろう。案外早目の解放となった。
北朝鮮という国はこれで、米国に対して「貸し」を作ったなんて考えかねないが、とんでもないことで、ただでさえ悪い国際的なイメージをさらに悪くしたのだから、結局は大損だ。もともと大した金額じゃないのだろうが、観光収入だってますます下がってしまうだろうし。
ところで今回のこのドタバタ、もしかして、例の張成沢・国防委員会副委員長の失脚というニュースとは関係ないのだろうか。
北朝鮮国内で、「何かにつけて米国を挑発しちまえ」という強硬派と、「いや、少しおとなしくしといた方がいい」という穏健派があって、今回は強硬派が突っ走ってしまったのを、穏健派があわてて抑えにかかったとか。そうだとしたら、今回の事件は北朝鮮全体がやや穏健な方向に向く前兆なのか。
日本からすると、北朝鮮という国はあっさり自滅してくれればいっそスッキリするが、米国や韓国としては、北朝鮮があんまり暴走してあっさりと自滅してしまっては、ちょっと困ってしまうのだろう。今のままの体勢でバカなことをやりつつヨタヨタしてくれている方が、ずっと都合がいいのかもしれない。
とくに韓国としては、地続きの隣国が急に破綻して、大勢の食うや食わずの連中の面倒をみなければならないなんて状況になってしまったら、ただでさえ経済が不安定なんだから、はた迷惑この上ないと思っているのだろう。
ということは、キム・ジョンウンとしても、「バカなことをやりつつヨタヨタしてみせる」ことが、最も効果的なサバイバルだと認識して、その通りのことを実行しているのだろうね。まったくうっとうしいことだが。
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