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2013年12月 4日

「特定秘密保護法案」でのステロタイプな言い合いについて

「特定秘密保護法案」に関して、私はこのブログでずっと静観してきた。その理由は一つには、こうした問題について私如きが何を言おうと無駄ではないかと、けっこうな無力感を抱いているからである。「何か言うだけ疲れる」のだ。現実として。

二つ目の理由は、この法案を推進する立場の人と反対する立場の人の言うことのほとんどが、気恥ずかしいほどあまりにもステロタイプの不毛な論議に堕していて、その不毛な 2つの主張のどちらかに組しないと、そもそも意見として認められないみたいな空気も、気持ち悪くてしょうがない。

その気持ち悪い空気のてっぺんに位置するのが、あの石破幹事長の「テロ発言」と、それに対する、またしてもステロタイプこの上ない反応である。あんなの、まともに問題にすること自体が馬鹿馬鹿しすぎる。

というわけで、こうした問題が注目されるたびに、私は「ああ、嫌だなあ」と思う気持ちが先に立ってしまうのだ。ところが、「嫌だ、嫌だ」と思っているばかりでは、世の中がどんどん嫌な方向に流れてしまい、ますます嫌になる。だから、私のこうしたシニカルな態度は問題ありすぎというのも、十分に自覚しているのである。

というわけで、私としては「マスコミで交わされている『特定秘密保護法案』に関するメジャーな議論は、かなり不毛で馬鹿馬鹿しいよ」という声だけは、この辺で上げなければならないような気になってしまったのだ。 「私如きが何を言おうと無駄」という無力感は、相変わらず抱きながらではあるのだが。

で、ぶっちゃけて言ってしまうが、この問題でのマスコミ上での議論は、自分の立場を守りたい役人とマスコミの、相反する都合の言い合いに過ぎないのである。役人は基本的に「知らしむべからず」で、そそくさと仕事を進めたい。ところが、そんなことではマスコミは飯の食い上げになるから、ああだこうだと言って猛反対する。それだけの図式だ。

そんなちまちました図式に過ぎない土俵に、一般国民まで乗っかってどうするというのだ。

国民には知る権利がある。これは自明の理だ。しかし、かといってすべてを白日の下にさらしては、国益が損なわれることがある。これもまた当然の話である。要はこの 2つの「当然の前提」のバランスを、いかにとるかを考えればいいだけなのに、現状はそうなっておらず、役人とマスコミが自分の立場での言い合いに終始している。

まあ、実際は役人は決して目立つところには登場せず、政府の影で台本を提供しているだけなのだが。

そう思っていたところ、とてもまともな視点での情報をやっと見つけた。「ニュースの教科書」というサイトの「日本の秘密保持、公文書管理、情報公開はそもそもどのような体系になっているのか?」という記事である。この記事は次のように結ばれている。

秘密保護法の策定は、情報公開法の改正、公文書管理法の改正と組み合わせた一体改革として導入するのが望ましく、それこそが国益を最大化させる最良の方法といえるだろう。

まさにその通りじゃないか。そんなことは、ちょっと考えればすぐにわかることなのに、「それやろうよ」と、どうして多くの人が声を上げないのだろう。ああ、いかん。ますます無力感に襲われてしまいそうだ。

 

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コメント

ほぼ毎週、官邸~国会前の反/脱原発行動に参加している身としては、この問題については、むしろ、遅ればせながら最近になってようやくマスコミが土俵に乗ってきたという印象です。むしろ市民による反対運動の方がはるかに先行していたような。

で、そのなかでは「知る権利」という要素ももちろん出てきますけど、情報をすべて公開しろなんていうラディカルな話は当然ながら(一種の原理原則論としてはともかく)ほとんどなくて、もっとリアルに自分たちの身に危険が及ぶという危機感の方が強まっているような気がします。

投稿: 山辺響 | 2013年12月 5日 17:11

山辺響 さん:

>ほぼ毎週、官邸~国会前の反/脱原発行動に参加している身としては、

頭が下がります。これ、金曜日でしたっけ?
私もたまには参加しようかな?

>遅ればせながら最近になってようやくマスコミが土俵に乗ってきたという印象です。むしろ市民による反対運動の方がはるかに先行していたような。

遅ればせながら土俵に乗ったマスコミが、エキセントリックになっているということなのでしょうかね。

>もっとリアルに自分たちの身に危険が及ぶという危機感の方が強まっているような気がします。

このリアリティの捉え方の温度差が、かなり問題という気がしています。

投稿: tak | 2013年12月 5日 17:52

毎週金曜日ですね。昨年6~7月は万単位でしたが(でも主催者発表の20万人は吹かしすぎかと)、今はもう、せいぜい200人くらいしかいないんじゃないでしょうか。半年に一回くらいの呼びかけで大きなデモがあるときには、今でも1万人くらいの参加はあると思うんですが。

秘密保護法案については、政府の滑稽なほどの急ぎっぷりがむしろ気になります。数の余裕はたっぷりあるのだから、なぜ時間をかけて横綱相撲で押し切らないのだろう。

投稿: 山辺響 | 2013年12月 6日 09:16

山辺響 さん:

>秘密保護法案については、政府の滑稽なほどの急ぎっぷりがむしろ気になります。数の余裕はたっぷりあるのだから、なぜ時間をかけて横綱相撲で押し切らないのだろう。

何かよっぽど事情があるんだろうかと、疑りたくなりますね。

投稿: tak | 2013年12月 6日 09:52

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