伊勢海老の価格高騰というお話
月曜からの出張中にホテルのテレビで見たニュース番組で、「おせち料理用の伊勢海老の価格高騰」が話題になっていた。例の「虚偽表示」問題で、業者がにわかに「正直な表示」を始めた結果で、価格は例年の倍近くになっているという。
「漁師も流通関係者もびっくり」なんだそうだが、これまではいわゆる「虚偽表示」がどれだけ多かったんだよと思わせるに十分なニュースだ。
私の感覚だと、これまでは「伊勢海老」と表示していたものを、正直に「メキシコイセエビ」とか「ウチワエビ」とか、あるいは単に「エビ」と表示して売ればいいだけと思うのだが、そこは縁起物だけに、そうはいかないらしい。
番組では街を行く消費者の代表として、いかにもセレブ風の若奥様と、いかにも苦労人タイプのおっさんの 2人がコメントを述べていた。あまりにも「いかにもすぎる」人選で、ちょっと微笑ましいぐらいではあったのだが。
若奥様は、「国産の本物なら、高くても許せます」と、きっぱり言い切る。上質そうなカシミア・コートを着て、「高いのは困りますぅ」なんていうコメントをしても似合わないから、まあ、いかにも役どころを心得ている。
これまでは本物かどうかわからないものに結構な金額を払っていたのに、今年は信頼できる本物(であろうもの)が手に入るのだから、それなら高くてもいいということなのだろう。
変な騒動があった後だけに、心理的満足感はより高くなるということか。意地悪な言い方をすれば、「何も知らずにこれまで通りの『なんちゃって伊勢海老』を食ってる方が幸せ」 という気もするが。
一方、いかにも苦労人風のおっさんも、十分に役どころを心得ている。カメラを向けられながら、「いやあ、高いのは困るねえ。正月どうするの?」と、ひたすらぼやいて見せる。
私なら、それこそ 「代用品をこれまでより安く買えるチャンス」と言いたいところだが、そんなコメントはボツになるに決まっている。ニュース・ショーとしては、この 2人を登場させたら、あとはいらないというぐらいの、理想的なコメントが取れたわけだ。あまり理想的すぎて、やらせじゃないかと疑いたくなるぐらいである。
なんとなく、海老そのものよりも「スペックを買っている」という気がするようなお話だが、まあ、人は実質よりスペックが好きだったりするからなあ。
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