南スーダンでの、どうしようもないしがらみ
昨年末に南スーダンで自衛隊から 1万発の銃弾支援を受けた韓国軍が、年が明けても本国からの銃弾 4万発や食料を含む追加支援を受け取れないどころか、反政府軍に包囲されてしまっているらしい(参照)。何だか正月どころではない様相である。
自衛隊からの銃弾支援に関しては韓国政府が、「何を余計なことを!」と言わんばかりの勢いで、「追加支援が届き次第、すぐに返却する」と大見得を切っていた。しかし、韓国軍合同参謀本部の話として韓国メディアが報じたところによれば、韓国軍の支援物資は「4日になっても受け取れずにいる」ということだし、その後も「受け取った」というニュースはない。
これは、韓国部隊が展開する東部ジョングレイ州の州都ボルが反政府軍に掌握され、韓国部隊に物資を届けるための安全が保証されないとして、輸送ヘリコプターを飛ばすことを国連が許可していないからだという。国連としては、命がけのオペレーションはご免被るということなのだろう。裏で何か交渉しているのかもしれないが。
韓国軍合同参謀本部は、部隊は今も安全な状態にあると主張しているが、既に「孤立の危機」という報道も出始めている。まあ、普通に考えれば本当に「安全な状態」にあるのなら、銃弾の補充を頼む必要なんてないだろうから、やっぱり心配になるところだ。
一方、自衛隊の派遣部隊は 330名が首都ジュバ及びその周辺において活動しているという。いくら無茶ばかり言いたがる韓国の連中でも、すぐ近くにいるのに放っておくのは、同じアジア人として夢見が悪いだろう。しかし前回は、銃弾支援をしただけであんなにいろいろ言われてしまうのだから、よほど緊急な要請がなければ動きにくい。
とはいいながら、よく考えてみれば「よほど緊急な要請」が発せられる状態とは、とりもなおさず「戦闘状態」であり、その中に自衛隊が割って入っていくというのは、「戦闘行為への参加」に他ならない。もし「緊急事態での超法規的行動」だったとしても、これは「海外での戦闘行為の既成事実化」として、大きな憲法問題を引き起す。
さらに何もしなければしないで、韓国側に「我々が危険な地域で頑張ってるのに、日本の自衛隊が安全なところにいるのはズルい」なんて言われかねない。しかしだからと言って、戦闘も辞さない姿勢で武装して危険地域に進駐したら、またぞろ「安部政権の軍国主義的姿勢」として、どうのこうの言われるのは目に見えている。
要するに、日本は助けても助けなくても、さらに何もしなくても非難される。まあ、南スーダンという国は今はしっちゃかめっちゃかの状態だが、豊富な油田資源があるので、将来の利権を見越した思惑が飛び交っている。いざとなったら恩を売りたい国は出てくるだろうから、それを待つしかない。
韓国部隊も大変だが、いろいろなしがらみを受けながら活動する自衛隊員も、本当に本当にご苦労なことである。
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