The singer of folk songs よ、永遠なれ
ピート・シーガーが死んだというニュースに、かなり悲しくなった。彼を知る人なら、きっと悲しくなる。悲しくならない人とは、あまり友達にはなりたくない。
一番最近、彼が歌うのをみたのは、オバマ大統領の就任記念コンサートだった。その時のことを、私は 5年前に「君と僕のためにつくられた国」というタイトルで書いている。あの時 "This Land is Your Land, This Land is My Land" を高らかにシング・アウトした彼は、89歳だった。そして 94歳になった今年、ニューヨークの病院で亡くなった。
報道によれば、数日前から入院していたという。死因は「老衰」。私も死ぬならそんなふうに死にたい。
私が意識して音楽に親しみ始めた 1960年代後半、ピート・シーガーはほとんど神様だった。あの頃にフォークソングを歌っていたのは、生まれも育ちもいいお坊っちゃま、お嬢様の大学生だったが、彼らの歌う "Where Have All the Flowers Gone" や "This Land is Your Land, This Land is My Land" は、毒を抜かれたバージョンだと知った。
私はブラザーズ・フォアや PPM、キングストン・トリオを入り口として、ボブ・ディランを知り、さらにピート・シーガー、ウッディ・ガスリーを知って、フォークソングにのめり込んだ。その前から夢中になっていたビートルズ、ローリング・ストーンズは、ロックン・ロール、R&B、そしてより古いブルースへの入り口となった。
だからピート・シーガーは、私の中の「白いフォークソング」の象徴だが、「白い」といっても、彼らの首は日に焼けて赤い。
彼は自らを "folk singer" ではないと語った。本当のフォークシンガーとは、民衆の中で日々の暮らしの中で歌う人であり、自分は "a singer of folksongs" (フォークソングの歌手)であるとした。彼はその意味で red neck の歌にある種のインテリジェンスを与えたのである。
私は "a singer of folksongs" の "a" を "the" に変えた称号を彼に贈りたい。 "The singer of folk songs" よ、永遠なれ。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- クラシック・コンサートでの「咳」を巡る冒険(2023.10.19)
- 最近の人はアコースティック・ギターを弾かないのだね(2023.10.16)
- 「ラップ」と「トーキング・ブルース」(2023.03.28)
- ピアノの黒鍵から、オクターブ、コードを考える(2022.05.17)
- "Hey Jude" の歌詞(「ラ〜ラ〜ラ〜」じゃないのよ)(2022.05.11)
コメント
数日前の友人のFB Timeline からリンクをおすそわけします。http://www.mediaite.com/online/heres-the-amazing-transcript-of-pete-seeger-pissing-off-the-house-un-american-activities-committee/
投稿: emi | 2014年1月31日 14:21
emi さん:
ピートは、かなり口八丁手八丁ですね (^o^)
投稿: tak | 2014年2月 1日 00:17