韓国人の名前の読み方で、ちょっとだけ疑問が解けた
私はこれまでに数回にわたって、どうして韓国人の「李」という名字は、日本人には「イ」と読ませるのに英語表記は "Lee" なのかという疑問を呈してきた。以下の過去記事を読んで頂ければ、この疑問の根深さがわかっていただけると思う。
中国人、韓国人の名前の読み方 (2008.08.12)
それにしても納得がいかないのは、韓国人は「李」という名前を、どうして日本には「イ」と読むように強要するのに、英語表記は "Lee" でよしとしているのかということである。
韓国大統領「李明博」は、日本人には「イ・ミョンバク」と読ませたいらしいが、英語表記は "Lee Myung-bak" である。ならば、どうして日本人が「リ」と読むと怒られちゃうのか、不思議である。野球の「イ・スンヨプ」選手も、ユニフォームの背中にはしっかり "Lee" と書いてあるし。
先代の大統領「盧武鉉」も、日本人には「ノ・ムヒョン」と読ませておいて、英語表記は "Roh Moo-hyun" である。欧米人が「ロー」と読む分にはいいが、日本人が日本式に「ロ」と読むのはいけないようなのだ。
「グルジア」 が 「ジョージア」 であること(2008.08.17)
最近話題の 「グルジア共和国」 だが、表記は "Georgia" なので、英語文化圏内では、当然のごとく「ジョージア」と読む。
韓国人名の読み方のダブル・スタンダード (2011.08.13)
名前の読み方は、国際的には大抵どこでも 「相互主義」 でやっている。それはアルファベット圏の欧米人同士だったら、お互いに自国の読み方で通しても問題ないということだ。例えば "Agnès" という名前は、フランス人には 「アニエス」 だが、アメリカ人は 「アグネス」 と呼ぶ。それで構わない。それが相互主義だ。
アルファベットの固有名詞の読み方を自国流にしていいという慣習があるのだから、漢字の読み方だってそれに準じて当然だ。
この疑問に対しては長らく納得のいく回答をもらったことがなかった。まあ、漢字の読み方の相互主義が、韓国との間で成立しないのは、向こうでは日本人の名前を漢字ではなくハングルで表記するらしいということからもわかる。
これは向こうが漢字を使わなくなって久しいので、日本人の名前を漢字でそのまま表記されても、自国語流の読み方すらできなくなっているからだろうということは、容易に想像される。つまり、韓国との間では東アジア流の「相互主義」が通用しないということだ。
それでも、どうして「李」が「イ」と "lee" というダブル・スタンダードなんだという疑問は晴れなかったのだが、最近になってようやく 「ふぅん、そういうことなのね」と思える記事を見つけた。「韓国人5大姓とローマ字表記のナゾ」というものだ。
要するに、「そう書くのが一般的」ということと、「"Lee" の方が欧米人に馴染みやすい」からということらしいのである。そんなわけで、「朴 (パク)」は "Park" で、「崔(チェ)」は "Choi" なんだそうだよ。詳しいことは、リンク先でじっくり読んでいただきたい。
なんだか、今イチしっくりこないが、まあ、向こうはそういう習慣でやっているのだろう。一つだけはっきりしたのは、「欧米人に馴染みやすい」表記にはするが、日本人に馴染みやすい表記にするのはご免こうむるということのようなのだよね。まあ、それでもいいんだけどさ。別に。
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コメント
takさん、遅くなりましたが、
明けましておめでとうございます。
今年も面白いネタ、楽しみにしております。
韓国語の不幸はちゃんとしたローマ字が
存在しない、ということではないでしょうか。
チェさんがChoiなのは、ハングルでそう書いている
から、ということですから、全部その通りでやればいいのに、
中途半端に、欧米人というか英語話者が読みやすいような
書き方の慣習を受け入れているという点が、
なんだかなあ、と思いますね。
(李をLeeと書いても、「いー」の音で読むのは英語話者だけでしょうに・・・)
加えて、漢字語が膨大にあるにも関わらず、漢字の使用をやめてしまったのが痛恨ですよね。同じ文字でも国によって違う読み方があるという考え方が分からなくなってしまったのは大きいでしょうし(だから、「正しい」読み方を強要してくる)、かの国の人々の振る舞いにも影響を与えている(?)とも思えるのですが。
投稿: hokkaidense | 2014年1月 3日 18:16
hokkaidense さん:
>韓国語の不幸はちゃんとしたローマ字が
>存在しない、ということではないでしょうか。
ん? ちょっと意味がわかりません。
>チェさんがChoiなのは、ハングルでそう書いている
>から、ということですから、全部その通りでやればいいのに、
ハングルでそう書いているからではなく、これも欧米人向けの表記みたいですよ。
>かの国の人々の振る舞いにも影響を与えている(?)とも思えるのですが。
それは確かに感じます。
投稿: tak | 2014年1月 3日 21:49
たびたび失礼します。
ローマ字の件は、つまり、日本語なら「つ」なら「tsu」という風に、
アルファベットに置き換える、定着した置き換え方があり、
それを欧米人がどう発音するにしろ、おおよそもとの日本語を
表していると(思い込みかもしれませんが)考えられている、と。
ところが、韓国語では名前の件で分かるとおり、決まった方式が
ないと言いたかったのです。
また、「チェ」という苗字のChoiはハングルの文字を分割すると、chの子音+母音o+母音iとなるから、こう綴られています。
takさんが引用されたページでもそう書いてあります。
これは「李」をLeeと書くルールと明らかに異なりますね。
これじゃ、混乱するよなあ、と思う次第なのです。
「李」は「イ」だと言うなら、アルファベットでも「I」とすればいいのに、と思ってしまいます。
短すぎて余計混乱を招くかもしれませんが。
投稿: hokkaidense | 2014年1月 3日 22:39
hokkaidense さん:
了解しました。ハングルとアルファベット表記が必ずしもきっちり対応していないということですね。
投稿: tak | 2014年1月 4日 01:37
韓国・朝鮮語には音声学的にリウル(L、Rのこと)禁忌というものがあります。昔の韓国・朝鮮語を話す人はラ行を冒頭に話し始めることがなかったのです。
実は日本語もそうでやまとことばでラ行から始まる単語はほとんどありません。日本語でラ行から始まる単語は漢字起源です。
日本人は漢字のラ行はラ行で発音することにしましたが、朝鮮民族は漢字であってもラ行からスタートしません。
冒頭でなくて途中にラ行があるのは問題ないですよ。
「李」も冒頭でなければ「り」と発音します。
そういった理由です。「り」と発音はしないが正式には「り」なので英語表記はLeeになっています。
投稿: あらし | 2014年1月 5日 08:00
あらし さん:
>「り」と発音はしないが正式には「り」なので英語表記はLeeになっています。
で、なおかつ、日本語のカタカナでは 「イ」 であって、たとえ正式であっても、「リ」 と書くと文句言われるということですね。
投稿: tak | 2014年1月 5日 19:32
次の通常「合計」デバイスをクリックします。
投稿: アイフォン5 カバー | 2014年1月17日 10:43
アイフォン5 カバー さん:
はい、ご苦労様。例によって、リンク先を編集させていただきました。
投稿: tak | 2014年1月17日 14:04
偶然通りかかった者です。「イ」とLeeの不一致に関しては、かつて私も疑問に思い、韓国にまつわる矛盾の多さに次第に呆れて諦めたクチです。
これに北朝鮮が絡むと、さらに面倒になります。北では「李」は「リ」、「盧」は「ロ」発音されます。リウル禁忌なるものは朝鮮語全般ではなく、韓国方言の規則と思われます。
ま、韓国人に相互主義だの自己相対化だのを期待しても無駄なので、突き放すしかないですね。
私は、彼らの主張に付き合わず、読みたいように読むことにしました。金大中はキンダイチュウと発音しますが、盧武鉉はノムヒョンと発音します。なぜなら、ノムとかヒョンとかの音が面白いからです。
投稿: park-lee | 2014年2月25日 01:16
park-lee さん:
確かに、露骨な矛盾が多すぎますね。
私も気にしないことにしました。
投稿: tak | 2014年2月26日 13:07