「小正月」は「しょうしょうがつ」とも読むのかと思っちゃうほどに
昨日 1月 15日は小正月だった。上方方面では、元日からこの小正月までを「松の内」とするところが多く、実はこの方が伝統的に正しくて、関東では 7日までとされるのは、松の内が長すぎると火事が増えてしょうがないために、幕府のお達しで短縮されたためということを、5年前の 1月 15日付の記事に書いた。
で、この記事に やっさん が次のようなコメントを付けてくれた。
小正月は、「こしょうがつ」ですよね。ですよね。ショウショウガツじゃないですよね。え?私が間違ってるんですか?。否、そんなはずはない。絶対に「コショウガツ」でしょう!? それなのに、J-波(英語読みにしてください)の人気番組を担当する DJが、ショウショウガツ!ショウショウガツと連発。その謂れとか事、詳細に、どこかで聞いてきたように語るわけですよショウショウガツの事を・・・。
言うまでもないことだが、いや、時は既に「しっかりと言っておかなければならないことだが」と断らなければならないほどになっているのかもしれないが、「小正月」は「こしょうがつ」である。決して「ショウショウガツ」じゃない。手持ちの辞書で引いてみてもらいたい。「こしょうがつ」はあるが、「しょうしょうがつ」なんてない。
この やっさん のコメントに、私は次のようなレスを付けている。
賑々しい日本料理のお店でも、賑々しく 「しょうしょうがつ」 とフリガナ振ってるし。
このレスでは、該当の「賑々しい日本料理のお店」の名は出していないが、5年も経ってそのままなのだから、そろそろ名前を出してもいいだろう。大阪西心斎橋にある「作一」という店である。この店、ちょっと調べてみたら、あっと驚くことに、ミシュランで一つ星獲得しているらしい (参照)。
恐ろしいもので、ググって見るとこのほかにも、Jewel Cafe Odakyu OX 狛江店のスタッフブログでも、「本日は小正月 (しょうしょうがつ) です」と、わざわざフリガナ付きで表記されている(参照)。ここまで堂々とやられると、「もしかして、実際に『しょうしょうがつ』と言いならわしてる地方があるのかなあ」と、こっちの方が不安になるほどだ。
ただ、Google では「小正月 "しょうしょうがつ"」というキーワードで検索しても、本日のところはわずか 23件しかヒットせず、しかもその中には、それまで「しょうしょうがつ」と読み間違えていたという記述の方が多い。とりあえず一安心したくなる。
しかしちょっと深読みをすれば、これは、わざわざ「しょうしょうがつ」とフリガナまでふって記述したページが少ないということに過ぎないのだとわかる。文字には反映されなくても実際には誤読している人が何百万人いるか、知れたものではない。この誤読が複数のブログのネタになるぐらいなのだから、きっと「ありがち」なのだ。
今どき、「小正月」という言葉は文字で触れることしかなくなりつつあるのだろう。昔は日常会話の中で普通に出てきて、耳から覚えたものなので、「ショウショウガツ」なんていう誤読を防ぐためにフリガナが必要になるとまでは、誰も思わなかった。いやはや、ちょっとした盲点だね。
言葉というのは生き物だから、ややアブナい状態だが、「ショウショウガツ」が形として残る文字情報は少ないから、まあ、しばらくは放っておいてもこの誤読が市民権を得てしまうことはないだろう。しかし「市民権」はなくても、既に「長期滞在者」ぐらいになってしまっているのは、確かなようなのである。
【2020年 1月 11日 追記】
本文中に出ている大阪の「作一」という店のサイトに関しては、2018年 1月 16日の "「小正月」が「しょうしょうがつ」になってしまうんじゃないか" という記事に、さらに興味深い続報を載せておいたので、よろしく。
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コメント
「しょうしょうがつ」はやめてけれ、やめてけれって感じでげすよね!
語感がナンセンスだし、「少々雑」って聞こえて、あっしの性分を批判されてるみたいでげす(被害妄想)。
投稿: 下衆兵衛 | 2014年1月18日 17:35
下衆兵衛 さん:
これからは、日常会話の話題として 「小正月」 をできるだけ採用して、音声としての 「こしょうがつ」 の露出を増やして行きましょう。
そうしないと、いつのまにか 「ショウショウガツ」 が優勢にならないとも限りません。
それと同時に、ネットの世界で "「小正月」は 「こしょうがつ」 と読むんだよね" というエビデンスを多数露出する必要がありますね (^o^)
気持ち悪い読み方が広まらないための防御策として。
投稿: tak | 2014年1月18日 22:55