入試シーズンになると思い出すこと
今頃は入学試験のシーズンで、先日の大雪では試験開始を昼過ぎまでずらしたりするなど、大騒ぎになっていた。いずれにしても、入試というのは受ける方も学校側も大変だなあ。
ちなみに私は、我ながら生意気なことだが、高校でも大学でも大学院でも、入試で苦労したという経験がない。
私の田舎では、高校の選択肢なんてほとんどなくて、中学時代の成績が良かったら、ほぼ自動的に地域で一番の進学校一本で受験するものと相場が決まっていた。当時は競争率だって 1.2倍以下の呑気なもので、「滑り止め」なんていう意識もなく、公立校を落ちた者がのんびりと私立に願書を出しても間に合った。
私の場合は、通っていた中学の教師をしていた伯父が「あいつが落ちるようなら誰も受からないから、安心してろ」と父に言っていたそうで、当人も全然心配していなかった。受験勉強といっても「今さら何を勉強するんだ」ってなもので、特別なことは何もせずにあっさりと合格した。
高校在学中も、学校以外で勉強というものをしたことがなく、ただひたすら楽しく遊び回っていた。それでも高校 3年の夏を過ぎて、さすがに大学入試のための勉強というものをしなければならないと気付いたのだが、実際には 11月の文化祭が過ぎるまではその気にならなかった。
文化祭で目立ちまくり、その後はしばらく燃え尽き症候群になったので、受験勉強を始めたのは、12月になってからである。だから受験勉強は 12月と 1月の、実質 2ヶ月しかしていない。
大学は私立文系を受験したので、文系 3科目で済んだ。たった 3科目なら、2ヶ月あれば十分すぎる。しかも社会科では「倫理社会」が一番得意だったのだが、それではあまりにも点数を取り過ぎて他の受験生に悪いだろうから、2番目に得意だった「日本史」を選択したほどである。
そもそも「倫理社会」は「勉強」というより「道楽」と思っていたので、そんなもので大学入試を受けるのは「反則」みたいな気がして、自分から遠慮したのだ。ああ、なんてまあ、呑気な私。
ワセダの入試当日、机の上に裏返しに置かれた問題用紙を、開始のベルが鳴ってひっくり返したとたん、びっくりした。「ワセダの入試問題って、こんなに簡単でいいのか!」と思ってしまったのである。高校入学以来ずっと必至に勉強してきてこんなので落ちるやつが気の毒だと、心底思った。
当時の私の受験勉強なんてまったくテキトーなもので、今では常識になっているような試験対策なんてほとんどやらなかった。「要するに出された問題に答えさえすりゃいいんでしょ。どこからでも、かかっておいで」という基本姿勢で臨んだのである。
だから「受験テクニック」なんてものは、ほとんど身に付いていなかった。当時の田舎の進学校の受験指導なんて、その程度のものだった。こう言っては、ますますゴーマンに聞こえてしまうかもしれないのが恐縮だが、私ってば、テクニックじゃなく、地力であっさり合格したのである。
そして受験テクニックに疎かったというのは、思わぬところでプラスに作用した。
ワセダの前に「滑り止め」のつもりで受験した R 大学は、当時珍しいマークシート方式の試験だった。この試験で最後の問題に答え終わり、「さあ、後は寝るか」と思ったら、なんと回答欄が 1個残っていたのである。
つまり、どこかで問題を 1個飛ばしてしまったのだね。で、私はあろうことか、全部消しゴムで消して、しかも、紛れがないようにきれいに念入りに消して、のんびり最初からやり直したのである。それが礼儀みたいな気がしていた私は、まさに受験生の風上にも置けない呑気すぎる輩だったのだよね。
その結果、その科目は半分もできないうちに時間切れになり、R 大学は当然のごとく不合格となった。
R 大学の合格発表は、ワセダより早かった。だから下手に R 大学に合格していたら、入学金を無駄に支払うところだったが、幸運にも落ちていたために、払わずに済んだのである。
これが、当時の私の唯一の親孝行だったかもしれない。
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コメント
おもしろい親孝行でした~~~
すごい=====!!!!!!!!
さっすが=======!!!!!!!!
栴檀は双葉より芳しですね~~~!!!!
投稿: tokiko6565 | 2014年2月28日 09:30
tokiko さん:
本当に、世の中というのは何が幸いするかわからないものであります ^^;)
投稿: tak | 2014年2月28日 15:15