4年後のエイプリル・フールの日付が大問題に
毎年この日はエイプリル・フール・ジョークをアップしているが、今年はちょっとオモムキを変えさせてもらう。
実は 4年後のこの日は洒落では済まない話になりそうなのだ。下手すると 2018年のエイプリフ・フールは自粛ということになってしまわないとも限らない様相で、それを思うと心配で、ジョークどころではなくなってしまっている。
というのは、2018年の 4月 1日は、キリスト教で最も重要な祝祭日の一つである復活祭(イースター)とかぶってしまうのである。キリスト教の聖職者の間では、神聖な祝祭日が馬鹿げたジョークで汚されるのはたまらないと憂慮する声が噴出しているようなのだ。
復活祭の日付というのは固定されておらず、「コンプトゥス」と称する日付計算によって毎年異なった日に振り当てられるので、「移動祝祭日 (movable feast)」と呼ばれている。基本的には「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」と規定されていて、春分の日が満月だったら、次の日曜日ということになる。
こういう決まりなので、当然ながら 4月 1日になる可能性だってあるのだが、うまいことに、近年は長らくかぶったことがない。それで、「復活祭とエイプリル・フールは、絶対に同じ日にならない」という都市伝説まで生まれていたほどである。しかし怖れていたことが、ついに 4年後に起きるのである。
実は昨年の復活祭が 3月 31日で、エイプリル・フールの前日というニアミスが生じた。これだけで、欧米ではその前年に「大変だ! イースターとエイプリル・フールが同日になってしまう」というデマが乱れ飛んだぐらいのもので、実際に重なってしまったら、どうなるかわからない。
既にキリスト教関係者、とくにカソリック関係のウェブページなどでは、「2018年のエイプリル・フール・ジョークは控えるように教会が呼びかけるべきだ」という書込みがちらほらと現われており、中には 「2018年に限り、エイプリル・フールを翌日の 4月 2日に移すべきだ」という強硬意見までみられる。
この関連でググってみると、無宗教者や非キリスト教徒の間からは「とんでもない、復活祭の日付が年によって違うことの方が問題なのだから、ここはキリスト教の方こそ譲って、復活祭を延期すべきだろう」というカウンター・キャンペーンまでスタートしている。
この主張に対しては、「復活祭を 1日ずらして翌日の月曜日にすれば、三連休になる」と、一部で賛同の声が高まりつつあり、まるで日本の「ハッピー・マンデー」制度みたいなことになっている。
とはいえ、長い歴史と伝統をもつ復活祭がエイプリル・フールごときに負けて日付をずらすなどということは考えられず、エイプリル・フールの方を自粛することになる公算が強い。つまり 4年後のこの日は、非キリスト教者にとってはなんとも味気ない日になるようなのである。
唯一の解決法は、2018年の復活祭を 4月 1日としている西方教会(いわゆる西欧的なローマ・カソリックやプロテスタント)が、せめてこの年だけでも折れて、東方教会(ギリシャ正教やロシア正教などが属する)の歴法に従うことだ。
西方教会はグレゴリオ暦を用いるため、復活祭は 3月 22日から 4月 25日の間となるが、太陰暦の影響が強いユリウス暦を用いる東方教会では、4月 4日から 5月 8日の間となり、2018年の復活祭も既に 4月 8日と決まっている。つまり、東方教会流の日付計算では、復活祭は絶対にエイプリル・フールとかぶらないのだ。
今回の 2018年問題を機に、西方教会でも今後永遠にエイプリル・フール問題に悩まされないためにも、コンプトゥスの日付計算を東方教会流のユリウス暦に変更すべきだという指摘が出ているようで、私としてはそうなることを強く期待している。そうでないと、年に一度の楽しみが失われてしまう。
【4月 2日 追記】
ええと、いつものナニということで、済ませてください。詳しくは、2日の後始末記事をどうぞ。
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コメント
庄内拓明さん
こんにちは。「イースター」と聞くと中学、高校生時代に行っていた日曜学校での行事を思い出します。教会の植え込みにカラフルな卵を小さい子供たちのために隠したりしました。それと私の大好きな「エイプリルフール」が2018年に重なるとは? ムムム!嘘でしょう!Wikipediaで、「復活祭」を調べると書いてあるではありませんか。2018年4月1日イースター。
実は私は晩年に備えて浄土真宗からキリスト教に宗教を変えようかとも考えていました。もしこの問題が議論され始めたら、困ります。私には大切な精神のリセットが真っ赤な嘘をつくことなのですから。年に一度のお楽しみなのですから。それでしたら、私はこのまま4年間は仏教で行こうかと考えています。まさかWikipediaが嘘はつかないでしょうからね。(*☻-☻*)
投稿: keicoco | 2014年4月 1日 10:57
keicoco さん:
Wikipedia もたまに嘘をつきますが、2018年のイースターが 4月 1日というのは、嘘ではありません。
さて、どうしましょう ^^;)
投稿: tak | 2014年4月 1日 17:04
世界からタマゴがなくなったらどうしよう…。
そういえば、宇津木さんはいかがお過ごしでしょうか。
投稿: 乙痴庵 | 2014年4月 2日 08:05
乙痴庵 さん:
宇津木さん、冬眠から目覚めたようです。
投稿: tak | 2014年4月 2日 08:32