当たり前すぎることと細かいことしか言わない人
世の中には、当たり前すぎることと細かいことしか言わない人がいる。正直言って、喜んで付き合おうとは思えないタイプである。
その手の人というのは、自分はよっぽど「正しい人」と思っているフシがある。とにかく「当たり前すぎること」しか言わないのだから、他人から「そりゃ、違う」とか「あんたは間違ってる」とか言われたことがない。
いつもテキトーに「仰るとおりですね」なんて相槌を打たれるものだから、彼の「自分は正しい」という信念にますます筋金が入る。そしてその信念で、人の顔を見れば細かいことばかり並べ立てたがる。
ところが私ときたら困ったことに、突飛なことと大雑把なことしか言わないタイプなので、向こうからすると「危なっかしくて放っとけない人」に見えてしまうらしい。それでますます、私に対して当たり前すぎることと細かいことを、彼なりの老婆心で言ってくれるのだが、本当にうざったい。
まことにもって、口うるさい小姑みたいな存在ではあるが、まあ、そんな人もいてくれないと困るだろうと、あまり避けないように気をつけている。普段から「いろいろな人がいるので、この世はおもしろい」と言っている私としては、自分に都合のいい多様性だけを認めるという傲慢には陥りたくないのだよね。
近頃ようやく、「当たり前すぎることと細かいことしか言わない人」というのも、見ていると少々おもしろく感じられるようになった。観察していると、彼は周囲に「そうだよね」と言ってもらうのが大好きなようなのだ。それどころか、そう言ってもらわないと居心地が悪くてたまらないようなのである。
それでますます、「その通りですね」と言ってもらえそうな話題に逃げ込んで、おもしろくもなんともない話をくどくどと繰り返す。誰かに「そうですね」と言ってもらって、初めて自分の存在価値を認識できるんだろう。ある意味、自信のなさを補うために「そうですね」と言ってもらう必要がある。
それだけに、彼に対する相槌の打ち方にも注意が必要で、あまり軽々しく「そりゃ、そうだ」とか、「当たり前だね」なんて言うと、彼は急に不機嫌になったりする。もしかしたら、私ってば、これまでそんな言い方をしちゃったことが度々あったかもしれない。いやはや、申し訳ないことだった。
実は、彼のレゾンデートルを脅かしちゃってたのだね。それで彼としては、自分の存在意義確認のためにも、ますます当たり前すぎることと細かいことを、私に対して並べ立てようとしていたというわけだ。なるほど、なるほど。
ただでさえうっとうしいのに、細かいところで無用の軋轢を生じるのはさらにうっとうしいから、これからは気をつけようと思う。このタイプの人を見ているのが「おもしろい」と思えるようになって、少し人生勉強をしたみたいな気がする。
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コメント
「そうそう、それって私としてはわざわざ言うまでもないくらい当然の常識だと思っていたんですけど、分かっていない人が意外に多いんですよねぇ」
落としておいてフォロー(笑)
投稿: 山辺響 | 2014年3月17日 13:16
山辺響 さん:
座布団 5枚差し上げます (^o^)
投稿: tak | 2014年3月17日 16:52
そういう部下を持っていて毎日うんざりしていたのですが、ここを読んで納得しました。
自信がなかったのか彼は。
で、そういう人が人畜無害かというと私の職場ではまったくそんなことはなく、当たり前のことしか言わないために全く融通が聞かず、だんだん原理主義者になり、プロジェクトの障壁になっていったのです。
そして相手にされなくなった彼は、テレワークを頻繁に入れるようになり、ますます相手にされない人になっていってます。めんどくさい。
投稿: きんころ | 2020年9月 3日 01:59
きんころ さん:
ダイナミックな発想の転換が必要になるプロジェクトでは、こうした人はまったく役に立ちませんね。
何をどうすればいいのか理解できず、憚りながら「いるだけ邪魔」みたいな存在になってしまいます。
こうした人には、ある意味、どうでもいいルーティン・ワークをこなす仕事を割り振るしかないと思います。
「あなたが細かいことをしっかりやってくれるから、ありがたい」と持ち上げておけば、最悪でも邪魔にはなりません。
ただ、「決まり切ったどうでもいいことをやってくれるおかげで・・・」とは、言ってはいけません ^^;)
投稿: tak | 2020年9月 3日 17:27