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2014年3月29日

「ロボット型掃除機」 が徐々に 「小言幸兵衛」 になるのが、日本型ビジネス社会

日本生産性本部が年ごとに「今年の新入社員は ○○ タイプ」と、かなりステロタイプなまでの決めつけをしてくれていて、それがまあ、マスコミ方面にテキトーな話題を提供してくれている。中身といえば、ユルい茶飲み話の話題程度のことでしかないのだが、毎年それなりのニュースになっているのだから、「継続は力なり」と言ってもいいのかもしれない。

で、今年の新入社員は、「自動ブレーキ型」なんだそうだ。 そのココロは以下のようなことである。

知識豊富で敏感。就職活動も手堅く進め、そこそこの内定を得ると、壁にぶつかる前に活動を終了。何事も安全運転の傾向がある。人を傷つけない安心感はあるが、どこか馬力不足との声も。どんな環境でも自在に運転できるようになるには、高感度センサーを活用した開発(指導、育成)が必要。

とまあ、いかにもありがちなことなのである。ちなみに、昨年の新入社員は「ロボット掃除機型」ということだった。説明はこんなようなこと。

一見どれも均一的で区別がつきにくいが、部屋の隅々まで効率的に動き回り家事など時間の短縮に役立つ(就職活動期間が2か月短縮されたなかで、効率よく会社訪問をすることが求められた)。

しかし段差(プレッシャー)に弱く、たまに行方不明になったり、裏返しになってもがき続けたりすることもある。能力を発揮させるには環境整備(職場のフォローや丁寧な育成)が必要。

2つ読んでみれば、大抵の人は気付くだろうが、要するに同じようなことが書き連ねてあるだけだ。さらにさかのぼると、「奇跡の一本松型」「はやぶさ型」「ETC型」等々と続くが、これらもやはり、読めば大体同じようなことが書いてある。「今年の新入社員は、一見スマートで要領よく、決まったことはよくできるが、それ以上のことになると甚だ心もとないから、よ〜く教えてあげなければならない」といったようなことだ。

「奇蹟の一本松」や「はやぶさ」(例の7年もの長旅をして帰還した宇宙探査機ね)でさえ、初めは「困難に耐える力はある」というように褒め上げながら、放っとくとどうなるかわからないから、周囲がよくよく面倒を見てやらなければならないという落としどころに、決まって落ち着く。

このシリーズが開始されたのは 1973年。つまりまだまだ高度成長が続いていた時代なのだが、最初の 3年間は、「パンダ型 − おとなしく可愛いが、人になつかず世話が大変」「ムーミン型 − 人畜無害でおとなしいが、大人か子供か得体知れず」「カモメのジョナサン型 − 群れから外れやすく上空からしらけた眼で見ている。一方でめざとい」ってな具合で、まあ、ずっとこんな調子で来ているのである。

要するに、40年以上ずっと、同じようなことを言うためにその時々で話題になった商品やサービスになぞらえているだけなのだ。ということは、自分が新入社員時代に言われたようなことを、定年になって嘱託として残っているようなオッサンが繰り言のように言っているわけである。

というわけで、日本のサラリーマンは、ロボット型掃除機のようなイメージで入社して、だんだん「小言幸兵衛」に変化して行くようなのである。

 

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