ヨーロッパで「最高のでき」といわれた CM も
結構古い話(7年ぐらい前のことらしい)のようなのだが、最近知ったことなので、今更ながらに書く。
それはヨーロッパでは 「最高のでき」と評価されながら、米国では散々な論議を呼んで、ついには放送禁止となってしまった CM のことだ。日本語は全然使われていないのだが、たかだか 40数秒間、見てさえいれば何の CM かわかるので、まずはご覧いただきたい。
要するに食品スーパーでわがまま放題、傍若無人の大暴れをする憎たらしいガキん子に手を焼く哀れな父親の顔がアップになったとたんに、"Use Condoms" というテロップが出てくるという、まあ、チョー直截的な表現の CM なのである。
個人的にはこの CM には、不愉快な印象をもった。とにかく、うるさすぎる。私は子どもの金切り声が苦手なので、見ているだけでうろたえてしまう。それで、3年ちょっと前に 「子どもの金切り声」 なんていう記事を書いているくらいだ。我が家の 3人の子どもは、少なくともこんなにひどい金切り声を一度も出すことなく育ってくれたのでありがたい。
で、この CM がヨーロッパでは好評だったという話に戻るが、ヨーロッパでは「子どもは悪魔」と思われているフシがある。教育によって矯正しないと、勝手なことばかりして世の中をメチャクチャにしてしまう存在なのだ。その背景には、キリスト教の「原罪思想」があるだろう。
だから「ナイーブ」という外来語は、赤ん坊は神のような存在と思われている日本では「汚れない」といういい意味で用いられるが、英語本来の意味では「子どもっぽい」とか「世間知らず」とかいうニュアンスが強い。
そんな背景があるので、この CM はヨーロッパの大人たちにとっては、ある意味では溜飲を下げるような感覚があるのかもしれない。「ああ、子どもを教育していっぱしの大人にしていくのって、大変!」ということなのだが、「でも、コンドームを使いさえすれば、そんな悪魔と付き合わなくて済む」という福音が与えられるのだ。
ただ、ヨーロッパではこれが好評だったのだが、さすがに米国では不評だったらしいのである。アメリカって、人間が少し単純素朴なのだね。ヨーロッパと比べれば、そんなにひねくれていないのだ。やっぱり。
ただ、ひねくれてはいないとはいうものの、「放送禁止」というのは表現の自由と照らし合わせてどうかという気はする。しかしよく考えれば、テレビ CM というのも客商売だから、ウケないとわかれば、差し替えになるのが必至だから、突っ張ってもしょうがないというのが本当のところだろう。むしろ放送禁止になったおかげで、インパクトは残せただろうしね。
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