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2014年5月 3日

「インシデント」 という言葉

例のピーチ航空の那覇空港着陸の際の「重大インシデント」について、世の中では誰とは言わないが、「インシデントって、何だ? どうしてわざわざカタカナを使うんだ?」と、憤っている人がいる。聞き慣れないカタカナに出くわすと、まるで義務みたいにそんな反応をせずにはいられないらしい。

これ、日本語にはうまく言い表せる適当な言葉がないから、しょうがないのだよね。この言葉は英和辞書的には「出来事」「小事件」などと訳されるが、今回のケースでは、社会セキュリティを扱う ISO 22300 の用語と割り切ればいい。つまり、野球で「ストライク/ボール」と言うのと同様の専門用語と思えばいいだけだ。

で、専門用語としての「インシデント」は、次のように規定されている。(Wikipedia より引用)

Incident = “Situation that might be, or could lead to, a disruption, loss, emergency or crisis” (ISO22300(2.1.15)) 「中断・阻害、損失、緊急事態又は危機になり得る又はそれらを引き起こし得る状況」

さらに、私はこの言葉について少し誤解をしていたことに気づいた、私は「アクシデント (accident)」 になりかねない危うい出来事が「インシデント (incident)」、つまり、インシデントの延長線上にアクシデント(事故)があるのだとばかり思っていたが、Wikipedia では次のように説明されている。

かつては事故(アクシデント)が発生する一歩手前の状況がインシデントと呼ばれていたのだが、事故などが発生した後でもほっておけば被害は拡大していくため、その意味ではその事故自体がまた他の事故や危機の発生する一歩手前と考えられるという観点から目に見える事故が発生する一歩手前の状況からすでに目に見える事故や災害が発生してしまった状況までをも含めてインシデントと呼ばれるようになっている。

普通に使われる言葉としての感覚では、「インシデント」のレベルを超えてしまったのが「アクシデント」だが、社会セキュリティ用語としては、「アクシデント」は「インシデント」に含まれるという関係のようなのだ。

これをとってみても、「インシデント」 は専門用語なのだから、無理に日本語に置き換えようとするより、素直にそのまま覚えてしまえばいいもののようなのである。「パソコン」を「個人用計算機」なんて誰も言わないのだから、それでいいじゃないか。

 

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コメント

マイクロソフトとかへの問い合わせも1インシデントって言いますね
`;:゙;`;・(゚ε゚ )ブッ!!

投稿: ひろゆき | 2014年5月 4日 20:47

あ、あのぅ(おずおず)、あっし、考えたんでげすが、カタカナに弱い高齢者さんなどには、「重大事故一歩手前」と説明するってぇのはどうでげすかね?
これだったら、未然に食い止められたのも、小規模な事故もどっちも含まれるんで、いいんじゃないかと思うんでげすが…

投稿: 下衆兵衛 | 2014年5月 5日 10:57

ひろゆき さん:

広義には、出来事ならば何でもインシデントですからね。

それに、もしかしたら、問い合わせが来るのは、アクシデントの一歩手前であり、それに応えることで、ヤバい状態に陥るのを未然に防いでいるという意識があるからかもしれませんね。

投稿: tak | 2014年5月 5日 15:28

下衆兵衛 さん:

>「重大事故一歩手前」

なるほど、「重大インシデント」よりは、「重大事故一歩手間のできごと」 という方が、ずっと日本語ですね。

ちょっとまどろっこしいけど、「さっぱりわからん」 と言われるよりはずっとましですし。

投稿: tak | 2014年5月 5日 15:33

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