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2014年6月26日

「国語力」 とパワハラ

福島県警で捜査 2課の幹部 2人が、「パワハラ」を苦にして連続して自殺したとみられるらしい。先に自殺した 51歳の警部は上司の課長から、報告書の文書の書き方についてしつこく叱責を受けていた。そしてその自殺の直後に、直属の上司の 52歳の警視が「部下を守れなかった」などという遺書を残して自殺したと報じられている。

内部調査によると、上司の課長(45歳)は自殺した 51歳の警部に対し、去年の暮れから「小学生みたいな文書を書くな」「国語を習ってきたのか」などと繰り返し言い、報告書を決裁しないなどのパワハラを行ったことがわかった。この課長は、部下の別の警部 2人に対しても、「書類も書けないなら外に出るな」「あんたは係長以下だ」などと言っていたという。

このニュースを聞いて、私はかなり複雑な気分になった。私自身、仕事上でお粗末な報告書を読まされて情けなくなることが何度もあったからである。下手なだけならいいけど、意味の通らない文章を読まされるというのは、本当に苦痛なのだよね。

ただ、だからといって、そのお粗末な報告書を書いた当人に対して、どうのこうの言ったことは一度もない。同僚に「こんなんでいいかなあ」なんて相談されて、バシバシ「添削」してあげたり、上司のメチャクチャな文章が世の中に出る前に、人知れず「修正」してあげたりしたことは何度もあるけど。

で、こう言っちゃなんだが、お巡りさんの「国語力」にあまり期待しちゃいけないということだって、経験で知っている。かなり前に奥多摩の登山口で上等なレインウェアの落とし物を拾い、駅前の交番に届けたところ、その落とし物を受け付けてくれた若いお巡りさんの「国語力」にかなり問題があって、簡単な書類を作るのにものすごく時間がかかったことがある。

落とし物を拾った場所や状況を書類に書かなければいけないのだが、そのお巡りさんは日本語の「てにをは」がメチャクチャで、ごく簡単な漢字もろくすっぽ書けない。「貸せ、俺が書く !」というわけにも行かず、おかげで十分に余裕があると思っていた帰りの電車に乗り遅れた。あの辺りは、1本逃すと待ち時間がやたら長いので、「もう、正直に届けたのが間違いだった」なんて思ったりしたのだよね。

お巡りさんの中には「署名」ということの意味が全然わかっていない人もいるというのは、昨年 12月 7日の記事にも書いた通りで、その意味では、エリートの課長さんがかなりいらついてしまうことだって、そりゃあるだろうさ。気持ちはわからないでもない。

ただ、だからといって、いくら部下とはいえ、仮にも年上のオッサンにひどい言葉を投げかけるというのは、「職務上の指導」というよりも、どちらかといえば「人間性」の問題になってしまう。

そこはそれ、面倒だろうけど、「ここはこんな風に書かないと、読んだ人間が戸惑っちゃうからさ」みたいなことで、ソフトに指導してあげればよかったんだと思う。こんなことになっては、自殺した人とその家族が気の毒でならない。

まあ、どこの世界にも文章が下手でしょうがない人というのはいるのである。結構な地位にあっても、「あの人に文章だけは書かせちゃいけない」みたいな人もいる。それは鉄棒の逆上がりがどうしてもできないのと同様の、体質みたいなものだから、ある意味しょうがないのである。

「あいつは野球センスがいい」という言い方があるように、人間には「言葉センス」というのもあるのだ。そして「野球センス」のある者が必ずしも人格的に立派というわけでないのと同様に、「言葉センス」がちょっとばかりあっても、人間的に立派かということには関係ない。

だから、警察のエリート課長がいきり立ってきつい言葉を浴びせかけたところで、どうなるものでもない。逆にこんなことになって、自らの人間性が暴露され、出世コースが台無しになってしまったりする。

そういえば、近頃セクハラ野次で問題になった都議会議員も、視察旅行の報告書は Wikipedia の全コピーだったりしたらしい。野次は得意でも、文章を書くのはよっぽど苦手なんだろうね。

 

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