「ちゃぶ台返しの世界大会」 というものに寄せて
「ちゃぶ台返しの世界大会」というものがあると、生まれて初めて知った(参照)。本当に、いくつになっても、世の中知らないことばかりである。
この大会は単なる気まぐれや思いつきの域を超えて、岩手県矢巾町というところで、なんと 2007年から継続して開催されているようなのだ。第 2回大会が 2008年に開催されたというのだから、間違いないだろう(参照)。今回は、第 8回大会ということになる。
とはいえ「世界大会」なんてはったりではないかと、念のためによく調べてみたら、2010年に米国人男性が参加している証拠の動画が見つかってしまった(参照) 。よってこの点については、口を拭って沈黙しようと思う。
ただ、恐縮ながらちょっとだけ言わせてもらえば、この大会に使用されるちゃぶ台は、なんだか小さすぎて昭和世代のイメージに合わない気がするのだよね。あれじゃあ、「でぇーい!」という豪快なかけ声とともに、「ガラガラドシャーン!」とひっくり返る顛末には至らない。
昭和世代のちゃぶ台返しのイメージということでいえば、あの『巨人の星』の星一徹(参照)ということになるのだが、実際には、星一徹はたった一度しかちゃぶ台返しをしていないというのが定説のようである。
それ以外でいえば、業田良家の漫画『自虐の詩』が思い出される(参照)。テレビドラマの『寺内貫太郎一家』でも、小林亜星扮する頑固親父がたびたびやっていたらしいが、私はこのドラマが流れていた頃、あまりテレビというものを見ていなかったので、ほとんど印象にない。
どうやらちゃぶ台返しというのは、イメージの中の産物というか、かなり象徴性の高い行為であるようで、日常的にやったことのある人や目撃体験というのは、案外少ないのではないかという気がする。それもそのはず、こんなことをしょっちゅうやっていたら、自分の口に入るはずのメシがひっくり返ってしまって、日常的に食いっぱぐれてしまう。
というわけで、「ちゃぶ台返しの名人」なんていうのも、世の中には存在しないんじゃないかと思うのだよね。だって、なかなか実地の練習ができないんだから。
だから、岩手県の「ちゃぶ台返しの世界大会」の動画でも、「こなれたちゃぶ台返し」というのはほとんど見られない。どのパフォーマンスも、皆驚くほどぎこちないのである。これは実は喜ばしいことで、日本が平和である証拠じゃないかと思ってしまうほどなのだ。
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コメント
なるほど…深い…
(; ・`д・´)
投稿: ひろゆき | 2014年6月28日 23:33
ひろゆき さん:
「ちゃぶ台返しの文化論」という論文が書けそうですね (^o^)
「土下座」の対極にある行為というか。
投稿: tak | 2014年6月29日 00:23
おはようございます~
あっははは
72才の私でも、こういう風景を一度もみたことが
ありません。
日本には、
ほんとうに、あったのか?どうか?ですね~
投稿: tokiko6565 | 2014年6月29日 08:19
tokiko さん:
日本人は農耕民軸として、「一粒の米には八十八柱の神様が宿るので、ぞんざいにしてはならない」と教えられてきたので、あんな真似は、やろうとしても心のブレーキがかかってしまって、できるもんじゃありません (^o^)
投稿: tak | 2014年6月29日 18:06
「ちゃぶ台返し世界大会」、ジョークにしちゃきついんじゃねぇすかねぇ。
テレビっ子だったあっしの記憶でも、「巨人の星」でちゃぶ台がひっくり返ったのは確か一度しかなかったと思いやすが、それだって、一徹さんがひっくり返したというより、激怒のあおりでひっくり返ってしまったものでげすし。
テーマソングのバックでそのちゃぶ台がひっくり返った瞬間が毎回写されるんで、そのシーンが視聴者の目に焼き付いてしまったんすかねぇ。
「寺内貫太郎一家」のも、最初のころは貫太郎おやじが激怒するとお膳がひっくり返ってやしたが、そのうち、事が始まりそうになると家族が素早くお膳を移動させてやんしたよ。その広くなったところで、貫太郎おやじと「ヒデキ」が存分に闘ったのでげす。だからこの番組でもそんなにゃお膳はひっくり返ってねぇす。
あっしの家でも、夕食はそんなに楽しいもんじゃなかったでげすが、とにかく、ちゃぶ台返しは家庭崩壊のシンボルにしか見えねぇんで、あっしゃ、嫌でげすな。
投稿: 下衆兵衛 | 2014年6月30日 00:33
下衆兵衛 さん:
「寺内貫太郎一家」のちゃぶ台返しというのは、そんなように発展形を見せていたわけですか。なるほど。
確かに、ちゃぶ台返しなんて、するもんじゃありませんね。
心から同感です。
投稿: tak | 2014年6月30日 13:34