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2014年7月10日

気象のパラダイム・シフト

ニュースで台風 8号の被害状況が刻々と伝えられている。何しろ「経験したことのない強大台風」なんだそうだ。これは、一昨年あたりまで流行っていた「10年に 1度」とか「20年に 1度」あるいは「50年に 1度」なんていうレベルではない。なにしろ「未体験ゾーン」なのだから。

55年前の伊勢湾台風の時代は、気象に関する情報システムが整っていなかったから、死者 3,000名という大きな被害になった。台風進路そのものはかなり正確に予想されていたのだが、それが上陸直前まで情報として十分に伝えられていなかったので、対策が遅れたのだという。情報化社会となった今は、それほどべらぼうな被害にはならないが、そうでなかったら大変なことになる。

去年の夏、"「20年に 1度の大雨」から「経験したことのない大雨」に" という記事を書いた。近頃、この「経験したことのない」という枕詞が、気象関係のニュースで目立つようになったが、これは 10年や 20年に 1度というレベルの異常気象がほぼ毎年発生するようになったことと、無関係ではあるまい。

一昨年までは「こんなに毎年毎年、『20年に 1度の大雨』なんてのが発生するんじゃたまらないではないか」と思っていたのだが、これはとりもなおさず、気象のパラダイム・シフトが起こってしまった結果である。これまでは「20年に 1度」と考えられていた気象が、ほとんど毎年発生する「フツーの気象」になってしまったのだから、そう考えるほかない。

それで、最近は「経験したことのない○○」ということになってしまったのである。パラダイム・シフトしてしまったのだから、未経験の気象現象が起きるのも当たり前なのだ。我々は覚悟を決めなければならない。最近の気象変化は「人為的要因」によるところが大きいというのだから、責任上そうするしかないではないか。

「エネルギーをどんどん使って、暮らしは便利に楽しみたい。だけど異常気象は嫌よ」という虫のよすぎる話は、通用しないところまで来てしまったのだ。それを認めない人もまだ多いが、人間が認める/認めないに関わらず、自然界はそういうことになってしまって、そのプロセスはどんどん進んでいるのだから、しょうがない。

とりあえず、今日から明日、明後日にかけては、台風が関東にも近付く。覚悟して待ち構えよう。

 

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自然・環境」カテゴリの記事

コメント

木曜日の午後10時半、東京北部は小康状態です。
えっと、食料は2食分あるし、歩いて5分以内にコンビニは2軒あるし、水は…、ま、大丈夫っしょ。いざとなったら、荒川の水飲むし(腹こわさね?)。
明日はお仕事はないし、寝る前にまた気象情報見てと…。
お休みなさ~い(能天気野郎)。

投稿: のうさぎまりこ | 2014年7月10日 22:36

気象そのものが激化しているというのもあるんでしょうが、震災以降、自然災害の予報は大袈裟になった気がします。

なので今回の「経験したことのない規模の台風」も、本当に観測史上例がない規模のものなのかは疑わしいような。

投稿: yamato | 2014年7月11日 00:55

のうさぎまりこ さん:

台風は西日本で体力使い果たして、だいぶ老いぼれてきてるみたいですね。

まずは安心と。

投稿: tak | 2014年7月11日 02:31

yamato さん:

>自然災害の予報は大袈裟になった気がします。

多少はそれもあるでしょうが、昔と比べて防災体制が整ったことで、「大したことない」 と錯覚しているところもあると思います。

昔のヤワな家だったら、今回の台風で窓が破れて、屋根が飛びまくってますよ。

投稿: tak | 2014年7月11日 02:33

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