戦闘地域の上空を飛ぶことについて
ウクライナ上空でのマレーシア航空機撃墜事故は、かなり衝撃的だった。地上では戦闘が行われていたとはいえ、航空戦や地上からの対空攻撃が日常的に行われていたわけでもない地域で、いきなり民間航空機がミサイルで撃ち落とされたというのだから、尋常じゃない。この地域を飛ぶ民間機は、しばらく皆無になるだろう。
私が初めてヨーロッパに出張した 1980年頃は、ドイツに行くのに、アラスカのアンカレッジを経由するのが普通だった。アンカレジで給油しないと、ヨーロッパまで燃料がもたなかったのである。アンカレジ空港の「立ち食いうどん」は、まずいのだが、ヨーロッパに 1週間もいると、里心付いてつい食ってしまうのが痛恨だった。
ところがその頃、ソ連(当時は「ソ連」だったのである)上空を飛んでヨーロッパに直行する便というのが登場した。これは画期的なことだったが、私はこの便には決して乗りたくないと思った。もしなにか不具合が発生して、ソ連領内に緊急着陸せざるを得ないなんてことになり、そのまま2〜3日ソ連で過ごすなんていう事態には、絶対に遭遇したくないと思ったのである。
今でこそ、年間 20回以上飛行機に乗る(とびきり多いというわけでもないが、決して少ないわけでもないだろう)私だが、若い頃は飛行機に乗るのに恐怖を感じていた。初めて乗ったルフトハンザ機では、成田を離陸するとき、ずっと足を突っ張っていたのを思い出す。
まあ、今は「人間が飛ばそうとして作ったものなんだから、問題なく飛んで当たり前」と信頼を置く気になったので、飛行機に乗ることにそれほど緊張することはようやくなくなったが、それでも、戦闘地域の上空を飛ぶ航路の飛行機には、絶対に乗りたくないと思う。
平和はありがたいものなのである。そして、今回の事故の扱いをポリティカル・ゲーム化する現状には本当に心が痛む。
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コメント
まさに1980年頃、ソ連上空を飛ぶ飛行機に乗りました。飛行機に乗ること自体が生まれて初めてだったのですが。
といっても、乗ったのはソ連の国内線で、当時の国営航空会社アエロフロート。西側の航空機がソ連上空を飛ぶわけではないので、別に何も怖い設定ではないのです(^^) アエロフロート機を操縦するのはソ連空軍のパイロットでえらく腕がいい、という噂でしたし(嘘か本当か分かりませんが)。
何で生まれて初めて乗った飛行機がソ連の国内線だったのかというと、横浜から船でナホトカに渡ってシベリア鉄道の東の端っこを使ってハバロフスクに行き、そこから飛行機でモスクワに飛び(ここがソ連の国内線)、さらに鉄道で欧州に入る、というマニアックな旅程だったのです(笑)
投稿: 山辺響 | 2014年7月24日 09:55
山辺響 さん:
本当にずいぶんマニアックな旅程ですね。
さらにポルトガルからアトランティック航路で南米大陸に渡ったというわけではないでしょうね。
投稿: tak | 2014年7月24日 14:17
さすがにそこまでマニアックではなくてパリからは飛行機で帰ってきたのですが、このときもアエロフロートでモスクワ乗り継ぎという選択をしたばかりに……オーバーブッキングが判明してモスクワで乗り継ぐべき便に空席がなく、「そのまま2~3日ソ連で過ごす」パターンに陥ってしまいました(-_-;) いや、1泊2日だけだったかな?
もちろんホテルの手配や宿泊の費用なんかは航空会社が負担してくれるのですが、当時のソ連は、たまたま滞在することになったからといってあまり自由に観光できるわけでもなく、空港近くのホテルにほぼ缶詰だったような記憶があります。
投稿: 山辺響 | 2014年7月24日 18:11
山辺響 さん:
オーバーブッキングで、予定外の土地に無料で滞在できるなんて、「ラッキー!」となりがちですが、モスクワではそうもいかなかったんですね。
自由に外出できれば、見るべきものはたくさんあったんでしょうにね。
投稿: tak | 2014年7月25日 10:25